第2話

 銃が。撃てなくなった。


 基本的には、こうなると殺し屋失格になる。引退の流れ。


 給金は低い。殺し屋だから。でも引退すると、給金はたくさんもらえるようになる。勤労感謝的な感じで。


 殺し屋を。やめたくなかった。


 というより。殺し屋以外に、生きる意味が見つからなかった。殺し屋として街を守る。人を護る。警察と連繋してわるいやつを追い詰める。そういう生き方が、好きだから。やめたくない。


 とりあえず。駅前のでかい病院で人間ドックを受けた。今日は、検診結果の受け取り。


 病院のばかでかいソファで、開封する。


 撃てなくなったのは、精神的な理由ではなかった。右足の故障。それが身体のバランスに影響して、要するに銃を撃つときの体幹の踏ん張りが利かなくなっているらしい。


「右足かあ」


 この前、朝のランニングをしているときに挫いた。それのせいか。


「治るかな?」


 また。銃を撃ちたい。


 生きているうちは。殺し屋でいたい。

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