6本目 花畑が出来ました、成長です。


 私が命の神の力を使い始めてから、気が付いたらもう10年が経っていたようです。

 ついに目の前が全て素敵な花畑になりました。


 初めに目にしたここの景色も綺麗でしたが、緑の茎や葉をベースに白、黄、青、赤などの様々な色の花が乗せられているこの光景。

 元の景色よりも素敵になったじゃないですか。


 この花畑の中心に私(世界樹)がどっしりと立っているという光景を主観では見ることが叶わないのが残念でなりません。

 きっと誰だって写真におさめたくなってしまうほど映える景色になっていることは間違いありませんから。


 ほんの思いつきで始めた作業ですが、ここまでのものにするには結構労力が必要でした。他にやることないので楽しくやってたんですけどね。


 私、こんな見た目をしていますけど、植物に詳しい訳ではないのです。

 花の作りなんてものは小学校、中学校の理科で知識が終わっていますし、花言葉に憧れたりもしなかったので、花の種類なんていうのも、桜と薔薇ぐらいしかわかりません。


 はい、言い訳です。初めはうまく出来なくて、コピペの花なるものを生み出したりしていました。

 雌しべや雄しべのある中心部分が異様に大きく、黄色くなっていて、単色の大きな花弁が5つほど付いているという小学生の落書きみたいなやつです。


 綺麗ではありましたし、雑に作ったのに、能力の補正のおかげなのか不自然ではありませんでした。

 なのでこれでいいやと思って、それをひたすら色だけ変えて、草原にコピー&ペーストしていたのです。


 流石に目視圏内でしかこの能力は使えないようなのですが、その範囲全てを塗り終わった後に思ったんです。

 なんか違うな。と。


 草だけの時には感じなかった不気味さを何故かを感じてしまうのです。

 人工的に見えるのがいけないのでしょうか?もちろん見た目はすごいカラフルですし、綺麗ではあるんですよ。


 仕方ないので、沢山作り過ぎたその花達を間引いて、私のどこにあるかもわからない脳細胞をフル活用させて前世の花を思い出すことにしました。


 その結果、目視範囲はこれ以上無いような素敵な花畑になりました。


 基本的に前世で見たような花で作ったのですが、私の力で作ったので、基本的にハイスペックであり、一年中咲き誇っているので、季節感や気温を全く感じさせない出来です。


 例えば、前世では春の花である菜の花に似ている花と秋の花である菊に似ている花が一緒に生えていたりしますし。

 熱帯の方に咲いている花っぽいのとかが一緒に生えていたりします。


 そのため見る人が見ればおかしく感じるかもしれませんが、この花々は私が創ったこの世界の花なので、仕方ないのです。


 

 その上この花々、そのまま食べるだけで切り傷ぐらいなら治せるぐらいの薬草となっています。

 生えている場所がおかしいだとか、それは毒だろうとかの異論や反論は認められません。


 この花畑を作るのに10年もかかりました、これまで十余年の世界樹生の中でも1番の作品であることは間違いありません。


 この10年で私はどんどん背が伸びて、ついに80mまで到達しました。

 前世の木でもここまであるのはなかなかないでしょうから巨木と言って差し支えないと思います。


 世界樹の成長が早くてびっくりします。

 目線がどんどんと上がっていくのはなかなかに楽しいです。目線と言ってもここに私よりも高いものなんてなく、視界は自由自在360度パノラマなので、見える範囲が増えていくだけですが。


 でも、そのおかげで、花畑は順調に大きくなったので良かったです。


 しかし、まだまだ果てしなく緑が広がっているのはどうしてでしょう。そろそろ別のものが見えてきてもおかしくないと思うんですけど。


 この世界は地球よりも広いので、平面での目視範囲も広がるはずなのですが、まだまだ終わりが見えないとは、世界に緑一色しかないのかと少し怖くなってきます。


 


 それはさておき、神の力を多用しているとなんとなく力の流れを理解する事が出来る様になりました。

 これは魔力が感じれるようになったということですね、そういうことです。きっと。


 その力を草木に与えるのではなく自分に取り込むことによって私はさらなる成長を遂げることが出来るのではないでしょうか!


 我ながらとても良いことを考えついたもんです。これで私は更なる地点へたどり着くことができるでしょう。


 見てろよ人類!この地にいるかどうかは知りませんけど!



 根っこを通して大地からエネルギーをぎゅーっと、かき集めます。力が集まってる気がします!

 成長してる気がします!

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る