7本目 砂漠がありました、緑化作業です。


 かつて、とある神の力によって、生命の一つも残らないほど荒れ果ててしまい、ついには砂漠と化してしまったという悲しい大陸があったそうです。


 それを起こした神は生命に関する全てを操り、周囲の命全てを自らの糧にしより強力に成長してしまうような強大で傲慢な神であり、周りのものたちに対抗する術は何一つなかったそうな。


 その大地はその神が猛威を振るう以前、緑に溢れ、様々な植物が美しく風に揺られるようなこの世の楽園のような絶景だったみたいです。

 ですが、そんな景色はもう2度と見ることが叶わないでしょう。



 私には何のことだかよくわかりません。

 

 さて、あれから何年が経ったのでしょうか?気付いたら20歳です。ハタチです。

 

 前世は17歳までしか生きれなかったのでなんだか感慨深いものがありますね。

 前世の人生分はとっくに植物状態で過ごしてしまったと考えるとなんだか心にくるものがありますね。

 

 でも、体感ではそんなにたってない気がするのはどうしてでしょうか。



 こんなに長い年月、20年間もを何に費やしたのかと言いますと、端的にいって成長ですね。

 周りのいの……エネルギーを吸い込むことですごい成長を遂げることが出来たのです!



 なんかもう。楽しくなっちゃってぎゅー、ぎゅーってやってて気づいたら吸い込むものがなくなっていたんです。


 この大陸?すごい命に溢れていて、命に溢れるっておかしいですかね。

 生命力みたいなものがいっぱいあったんですよ!

 気付いたら無くなってましたけど。


 こんなことまで出来るなんて流石命の神しのかみさまさまです!

 ん?

 

 そういう訳で今の私の全長はなんと!300m越えを見事に果たしました!

 そう、東京タワーと同じぐらいの高さになったのです。あの赤い鉄塔ですが、もう見ることは叶わないのですね。

 そのうちスカイツリーも越せますでしょうか?あれ……それと張り合ってはいけないという謎のお告げが。

 

 

 私の身長が伸びたことでついに、長年の疑問がはれ、念願が叶いました。

 あの地平線の彼方まで広がっていた草原の先が顕になったのです。草げ……砂漠の先には森がありました。


 森にはこれまでよりも沢山の動物や植物などの命に溢れているでしょう。


 ……いや、狙ってるわけじゃないですよ。


 動物が見れるようになったことで退屈さが紛れるだろうって事だけです。

 でも、ちょっとなら大丈夫かなぁ……いや、狙ってないですよ。


 さて、動物達を近くまで招きたいですけど、その前にこの目の前に広がった死の大地をどうにかしなければいけません。

 こんな砂ばかりのところなんて、一部の特殊な虫ぐらいしか生息出来ないでしょうから。


 直ちに緑化作業を始めましょう!なんたって私は生きとし生けるものたち全てを愛する神。

 生命を司る命の神なのですから。


 植物が一切ないところではじめに生えるのは地衣類でしたっけ?苔とかですよね。

 あれって岩場の話だった気もしますけど……。まぁ、いいでしょう。


 そもそも、なんで私はこのなんでもありの能力でただ万能薬なだけの花を作ったのでしょうか。自分の思った通りの植物ならなんでも作れるんですよ。


 私の意思で動かせる植物人形や人を喰らい成長する植物系モンスターだってお茶の子さいさいです。

 そんなもの作ったって今のところ使い道が無いんですけどね。


 そんな私の手にかかれば無からジャングルを作り出すような事さえ楽勝です。

 砂漠を森にするなんて朝飯前なのですよ。


 さて、今回創造するのは、目の前に広がっている砂漠をどうにかする為の苔です。


 能力は、成長率が高くてすぐに地面に広がって、周囲の魔力から植物が成長するために必要な栄養素をひたすら作り続けるみたいなのでどうでしょう。


 見た目は……苔って言いましたけど、苔だと可愛くないので、クローバーみたいな感じでいいでしょう。クローバーだって地面を覆っているのです。

 地衣類でしょう?うん。


 そうと決まればどんどん創っていきましょうか。

 等間隔に一つ創ればそこから緑の草が茶色の大地にじわーっと生えていきます。

 見ていてなんか気持ちいいですね。


 早送りで世界創造するみたいなゲームをしているみたいで楽しいです。

 ですが、非常に残念ながら時間は等速なのです。どんどん光は回っていきます。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る