4本目 世界樹になりました、ユグドラシルです。
こんにちは、私です。
異世界樹木転生を史上初で果たした者です。(自称)
異論は構いません。
それを私が知ることはないでしょうけれど。
さて、私がこの世界に来てからもう一年がたっていたらしいです。
確かに言われてみれば、最初の頃、ここに来てすぐの頃よりも視界の位置が高くなっているような気はしていました。
私の体が高く太く成長していたのでしょう。
私がこの世界のことを植物の世界なのか、虫の世界なのかと
大いなる光の神のやつ少し生き急ぎすぎではないかな、心にゆとりがないな、私を見習ってのんびりして欲しい。
なんて思っていたのですが、やっぱり時間は等速でしっかりと過ぎていたらしいです。
ぼんやりと色々考えすぎて、頭の中で普段争っている植物と虫達が私を守るために、神敵である
もし、私の考える通りの異世界転生をしたのであれば、ライトノベルの主人公よろしく、自分自身のステータスやこの状況とかを確認することができるんじゃないか?
なんて思ったので、『ステータス!!!』と
そんな簡単な事で今の私に必要な情報が得られるとは思いませんでした。
もっとも異世界テンプレってやつも思い浮かばないほどに焦っていたせいもあるのでしょうが。
さて、その情報によると今の私は世界樹であり、最高神の1柱である命の神であるそうです。
因みに、名前はユグドラシルです。世界樹ユグドラシル。どこかで聞いた覚えが……。
とりあえずよかったです、間違いなく私は神であるようです。全く体が動かせない植物であったので正直不安でした。
命の神というのはよくわかりませんが、世界樹であることも確かなようでした。
私がこんなに混乱して無為に時間を過ごしてしまったのも全てあの神様のせいです。
私が不慮の事故で死んでしまったのを、異世界に転生させてくれるっていうのは本当に嬉しかったのですけれど、木にするなら「木にするからね」と一言いってくれれば良かったのです。
絶対に全力で反対しましたから。
そして、今現在私は、世界樹 ユグドラシル 満1歳とのことです。一歳となっていたのでおそらくもうこの世界に来て一年が経ったのでしょう。
時間が経つのはあっという間ですね。体感では3日ぐらいしか経ってないんですから。
今私にできることは、ただ一つ!成長することのみです。世界樹なのでこんな大きさでおわることはないでしょう。
それと同時に、いくら私が世界樹といえどもまだ1歳なのです。
1年で、5メートルを超えているという成長率はなかなかのものだと思いますが、世界樹なのでもっと成長するに決まっています。
勝手なイメージですけど、世界樹というものはマントルに根を生やし宇宙に頭を出すような樹でしょう?
植物の成長に必要な物は空気と水、光です。全世界の普遍的な原理でしょう。要するに光合成です。
雨が降ったことなんてありませんけど、地面は湿っていますし、水分が足りていないなんてことにはなっていないので多分大丈夫でしょう。
なので、前一年を習って光を浴びてのんびりしましょう。
そういえば、この世界には魔法があるらしいです。世界樹も存在する様なファンタジー世界なので。
魔法の種類は、火、水、風、土、光、闇の六元素と無属性の併せて7種類が、勿論人によって得意不得意はありますけど、誰にでも使えるものとして。
後は、一部の選ばれた人にしか使えない時空魔法や召喚魔法などの特殊な魔法があるみたいです。
やっとファンタジーらしくなってきたじゃありませんか!
当然私も魔法を使ってみたい!と思ったのですが、この体の何処に魔力があるのか魔力感知のできない魔法素人の転生者にはさっぱり見当もつきませんでした。
たとえ魔力を感知することができる様になったとしてもそれを扱えるかどうかはまた別の話になるのでしょう。
人であれば、人じゃなくてもせめてヒトガタであったら、ラノベの主人公を真似て、へその下のところ、たんでん?ってところに集中して力を込めてみたりするのですけど……。
……‥…!
そうです!この体は誰がなんて言ったってあの世界樹なんですよ。
この葉っぱ一枚で死者すらも蘇生することができるような凄い樹なんです!きっと。
もし実が出来たとしたら魔力の塊でそれだけで国のエネルギーが何百年と賄えたりするんです!きっと。
ですから、世界中でも二つとない最高ランクの杖の材料になるでしょう!きっと。
要するに、自分の体を杖に見立てて……とか。
私こそは最強の杖ユグドラシル。この身に流れるであろう魔力を一点に集めて外界に干渉するのです。
そうです。目の前に広がる草原に何か強大な魔法を打ち込んでやりましょう。
うぉー、何かが出来そうな気がしてきました。
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