1本目 別の世界に来ました、綺麗な景色です。


……‥…!



 私がずっと閉じていた目をようやく開くと、その視界の先すべて、見渡す限りの世界は見事に緑と青の二色で覆われていました。



 あたり一面見渡す限り、どこを見ても綺麗な黄緑の大地が自分の周りを包み込んでいるのがわかります。


 人や動物の誰も踏み入れたことがないであろうことが簡単にわかるほどにまっすぐと伸びた草が陽に照らされ風に揺られて生き生きと輝いているのです。


 こんな光景今まで見たことがありませんし、ここまで見事に地平線の彼方まで芝生っていうのは地球上のどこを探してもそうそう見つかることはないでしょう。


 だって地平線と言って想像するような海と空の青と水色の地平線ではなく、それとは全く違う黄緑と空色の地平線なんです。




 その上側、高く広い空も今まで見たことのないぐらいには透き通っていて、青く輝いていると言ってもいいぐらいに綺麗でした。


 はじめに取り入れた空気が澄んで気持ちがいいと思いましたが、空気が澄んで綺麗だと、空もこんなに綺麗に映るのですね。


 そんな空にほどよく浮かんでいる綿雲は気持ちよさそうに空を泳いでいるように、絶えず形を変えながら気ままに流されて行ってしまいます。




 天上、自分の真上に当たるところからは明るい光が天地全てに降り注いでいています。


 その光は、上を見上げて直接見たとしても眩しく感じないぐらいには優しく、しかしこの世界を確かに照らし出してくれています。



 頭上に広がる広い空や眼前に広がる緑のカーペットが輝いて見えるように感じるのは全てその光のおかげなのでしょう。



 なんて長々と色々語りましたけど、一言で言うとすると、なんと素晴らしい景色でしょうか。



 こんな素敵な光景を元の世界、地球上で望むことなんてのはとうてい叶わないでしょうから、あの神様はちゃんと約束を守って違う世界に連れてきてくれたようですね。



 それにしても素敵な景色です。

 そんな世界に私はすっかり魅了されてしまって、何時間も見入ってしまったようでした。


 ふと気がついたら真上にあったはずの光はどんどんと動いていき、ついには地平の向こうへと沈みかけてしまっている様子です。


 天を照らす光は太陽と同じように赤く燃えているのでしょうか、夕焼け空は赤く輝いていてこれもまた一興。




 こんな綺麗な世界で私はこれから何を成すことが出来るのでしょうか。

 と、この先について取り止めもなく考えます。


つらつらと。











 えっと、これはまず、どこに向かえば良いのでしょうか?



 あたり一面なんの標もなく道もないです。

 綺麗ですね。


 人一人いませんし、獣もいなければ、その足跡も気配も感じません。

 綺麗ですね。


 唯一助けになりそうなものは、遠くを進んでいく光と流れゆく雲です。

 綺麗ですね。




 いくら綺麗な景色といっても、時と場合と限度が必要なのではないでしょうか?


 そう思いませんか?

 ねぇ?神様?

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