その本を前にして、クライヴ・バーカー。
高柳孝吉
怖かった、ただひたすらに。ーひたむきに恐怖と向き合った作家よりー
ああ、遂にこの時がやって来た、クライヴバーガー。時代の先をゆき過ぎた人。当時、こんな凄まじいホラー、あったようで、クライヴ(込め過ぎるんだよ親しみ(笑))が出現するまで、文学界にはなかった、ところに、まさにホラー映画のやうにドーンとその姿を現した。その当時、敬遠せざるを得なかったのは、果たして本当に俺が極貧で買う金すらなかった、というだけの理由だったと言い切れるのか。敬遠した、と先に書いた。それは文字通りーー言えよ、言っちまえよ。楽になるぜ、何十年もの月日を経て、気が。やっと休まるぜ。そうだ、あの頃を思い出してみれば…。ーー怖かったんだよ。掛け値無しに、タイトルと表紙見ただけで、ー怖かったんだよ…………。
あれから三十猶予年を経た令和の今、とうとうパンドラの箱を開けちまった。今日、郵便で送られて来た。その後、クライヴは「愛の園」という大作ファンタジー小説(おそらく)を敢行した。ーこれこそが、クライヴバーガーのやりたかった、というより到達点の一つなのではなかったか。両者とも未読ながら、表紙とタイトルを見ただけで、俺はそう確信し、『やったなあ、クライヴバーガー。すげえ人だったんだ…』と書店でその本を見下ろし、感慨深げに一人頭の中でごちたものさ……。
それもこれも、この恐るべき初期作品群があったからこその感動だった、という事実を忘れてはいけない。何度でも言うが、俺はクライヴバーガーを未読だ。あくまでも想像の範疇を超えてはいないと言われればそれまでだが、不思議なんだよなあ、これは、確信に近い、なんの根拠に基づいたものでもないのだが、これは、単純に勘と言ってもなんら差し支えないのだが、俺は、絶対と言い切れる自信がある。俺は、その事も確信してやまないのだ……。
今俺は夜中に一人ワクワクしてその本と対峙している。「愛の園」上巻もAmazonで既に注文済みで、届く日もそう遠くないだろう。ーどのような物語になるのか、どのような結末を迎えるのか俺は知らない。俺は、゛血の本゛「ミッドナイト・ミートトレイン」のページを間もなく繰るだろう。その横で、散々勝手にながら世話になって来たスティーブンキングの本が、見守っている…。
その本を前にして、クライヴ・バーカー。 高柳孝吉 @1968125takeshi
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます