幕間 国内最重要警戒人物に関する報告

この報告書は、ブランテンブルク王国内最重要警戒人物である、ハイデマリー・キースリング、並びに、冒険者アルト、アニに関する報告となる。

 王宮を爆破した後、逃亡した一行の消息は一か月以上不明となっていたが、冒険者ギルド、青のダンジョン完全攻略の報告から、冒険者として活動していることが判明。なおランクはハイデマリー・キースリング(以下聖女と呼称)Aランク、アルトAランク、アニDランクとなっている。所在判明後、王都にて王宮使節、ザシャ・ヘラーが接触。その際に、宣戦布告ともとれる発言をされるが、こちらから手を出さなければそうなる可能性は限りなく低いと考えられる。

 その後、ダンジョン攻略の報酬としてダンジョンマスターの勲章を授けるという名目で、王宮内に呼び込むことに成功。一行の明確な力量を図るため、会場に監視の魔道具を設置し、遠隔で鑑定を実施した。この鑑定には国内一の正確性、精度を持つ鑑定士を起用。理由として、一行の戦闘方法は魔法に大きく偏ると推測できるため、通常の鑑定では計測することが出来ない、魔力量の計測をするためというのが大きい。以下鑑定結果である。


ハイデマリー・キースリング

クラス 聖女

保有スキル 浄化、契約

保持契約 精霊契約 全権代理契約 他数点(商いに関する契約のため割愛)

魔力量 アンリミット


アルト

クラス 精霊

保有スキル 計測不可

保持契約 聖女契約

魔力量 アンリミット


アニ

クラス 不完全魔導士

保有スキル 契約

保持契約 全権譲渡契約(奴隷契約とは異なる物であることが判明。詳細は不明)

魔力量 3500


となっている。魔力量の基準として、宮廷魔導士の平均値が1000前後となっているため、一行の数値は異常であると言える。聖女並びに、精霊アルトの魔力量が無限であるため、先に述べられた王都を爆破し、更地に変えるという行為も十分に実現可能であると考えられ、国そのものを更地に変えることすら不可能ではないというのが、宮廷魔導士筆頭の見解である。

 今回の鑑定により冒険者アルトが精霊だと判明したが、実体を持たない精霊が受肉しているという問題が浮かび上がった。おそらく伝説級魔道具、魔法外骨格を用いているものだと考えられるが、詳細は不明。精霊については不明瞭な点が多々あるため、今後も慎重に調査を進める。

 冒険者アニは、聖女の生家であるキースリング家が所有するメイドの一人であったが、聖女自身が連れ出したということが、キースリング伯爵により報告されている。一行の中で、戦闘力は最も低いが、高い魔力量を誇る。なお、聖女が連れ出したのはアニ一人だけのため、聖女にとって重要な人物であるのは疑いよう無いが、手出しした場合、逆鱗に触れるとも考えられるため、基本的には避けるべきである。並びに、クラス不完全魔導士は今回、初確認のクラスとなる。これが巨大な魔力量にかかわっていると考えられるため、取得方法の調査を要請する。

 以上が今回の調査で判明した事実となるが、不明な点が多々あるためより詳しい調査を実施する必要があるが、その際、失敗は文字通り国家存亡の危機となるため、細心の注意を払って実施する。

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