ミカミカミ北風編二話没冒頭(没含めた雑多)

 だんの前でレオはぼんやりしていた。

 ふさふさのたてがみきょうじん。勇ましい顔つき。

 鏡に映る姿全てが、かつてかがやいた太陽のせいじゅうのままなのだ。

 多少いろせた気はするが、そこは横に置いておく。

 

(レオしゃま、ふかふかでしゅねー)

 

 寄りかかるのは少女の姿をしたようせい――ホアルゥだ。

 かのじょ自身もじゅうぶんに温かいのだが、あこがれの存在に近寄るための口実である。

 それを宙にかぶアトミスが、うらやましそうにながめていた。

 

「レオってあんな感じだったんだな」

げんある圧は変わりませんが……」

 

 妖精たちに囲まれているレオは、どう見てもかた乗りねこサイズだった。

 手の平にすわれてしまうホアルゥよりは大きいが、いぬであるメザマシ二世より少し小さい。

 そのせいかメザマシ二世が近づくと、全身の毛を逆立てて高所へげるのだ。

 

おれの意識内部では、つうくらいの大きさだったんだけど」

「やはりじんのせいですね! 今度会ったらたたりますか?」

「お、俺はまず話し合いしたいけど……」

 

 鼻息があらいクリスは、愛用の儀礼槍クーゼを両手につかんでいる。

 今にも目の前にある机をこわしそうな勢いなので、ミカはしどろもどろな返事しかできない。

 どうにもクリスだけでなく、ヤーの様子も少し変なのだ。

 

「そうね。あの女にはたっぷり話を聞かないと……」

 

 言葉としてはみを感じられるが、表情はみょうえない。

 ミカが彼女のたましいても、色合いがぐるぐると回っているのだ。

 なにかになやんでいるが、その内容が多すぎて感情が決まらないのだろう。

 

「わかりました、見つけ次第つかまえます!」

「う、うん……おやわらかにね」

 

 そんな会話をしている内に、オウガはたくを終えていた。

 自前の武器である長槍太刀パルチザンかかえ、えをんだ簡素なぬのぶくろを手に持っている。

 

「それにしても北かよ……」

 

 部屋の窓から庭を眺める。

 降り積もる雪が光景を真っ白に染め、今もむ様子がない。

 灰色の雲から絶え間なく白がこぼれ、地面をめていく。

 

「ここよりも寒いのかぁ」

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