いざロールプレイング(バシリス・クライム)

 なんていうか、まあ番外だしというメタな理由からRPGの世界へ。

 おれ――サイタ・サイガはなんと……村人Sである。

 せめてBくらいにしてほしかったが、文句を言っても仕方ない。

 

 役目はなんと酒場で働く村人。話しかければ助言をわたしちゃうぞ★な感じだ。

 泣きたい。勇者とかめんどうなのはいやだけど、もう少しこう……かっこいいのがよかった。

 

「なにんでるの?」

 

 声をかけてきたララ・タタラはなんとおどである。

 口に薔薇ばらくわえてフラメンコ的なおどりをする――男役。せめてれいなドレスを着せてやれよ。

 顔はイケメンだけど女子なんだからさぁ。

 

「ねー。これも慣れれば楽しいよ」

 

 そしてうたひめなテオ・カガミ。配役が逆じゃないかとも思う。

 しかしその歌唱力は本物なので、文句が言いづらい。むなしい。

 

「……はぁ」

 

 そして酒場のごとを仕切るクルリ・クルル。負け知らずのディーラーだ。

 少なくとも最初の村にいていい役ではない気はするが、存在するのだから仕方ない。

 ほのかにただよう強キャラ感がめちゃくちゃうらやましい。本人は「メンドー」とか思っていそうだがな。

 

「じゃあ今日のまかないっす」

 

 しそうな湯気をともなってミートソーススパゲッティが出てきた。

 世界観や時代考証は横に置き、ありがたく食べる。

 なおヤマト・ダイワは酒場の従業員エース。働き者で、力仕事も任せられる俺のこうはい役。

 

「店長、今月の売り上げなんですが……」

「どれどれ。うん、季節ものの仕入れが良かったみたいだな」

 

 そして酒場の会計係はヤクモ・アマトリ。

 賭け事に関しては口うるさいが、識字率が低い世界観では貴重な有識者らしい。

 つうは学問の街とかで学生してそうなふんだが、まあ最初の村にいてもおかしくないのかもな。

 

 そして酒場の店長がシュウ・アオジである。あまいマスクだが常識人。

 俺たちをまとめてくれる年長者で、本人は生き生きと楽しんでいた。

 もしかして前からこういう仕事やりたかったのでは……と俺は思っている。

 

 かくして酒場に集まった七人が、勇者達を横に置いておうとうばつの旅に出るとは――この時の俺達は考えもしなかった。

 いや、まあ、最近のりっぽくあるがごういんすぎないか?

 もう少し動機とかドラマとか、過去編とかさ……続く予定はないからいいけどよ。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る