馬鹿馬鹿しく愛おしい(誠の友情は真実の愛より難しい)

 母とのやさしいおくに、父の温かい手。

 それらを持たないためか、時折ラノベの主人公に感情移入できない。

 幼い時から叔父おじの手によって育てられ、友人と呼べるものもかい

 

 探すべき友情さえもわからなくなって、病弱な少女へいだく感情の答えが知りたい。

 こんなにもちゅうはんであるのに、あきらめが悪くてき続けている。

 おそらく真実の愛を見つける方がやすい。両親に会えば、理解できるはずなのに。

 

 物語の中で子供のために体を張る親のびょうしゃを、愛と呼ぶのならば――。

 けれど友情はせんばんべつ。裏切りも、にくしみも、忠義さえも。あらゆる感情がとなわせのようだ。

 叔父が告げた「まことの友情」がどういったものか、見当もつかない状態。

 

 それらを無視して青春を楽しめばいいのかもしれないが、結局それさえも友情が付きまとう。

 健全な男子高校生の生活において友情とれんあいはなせないものらしい。

 ラノベにも書いてあった。共学と男子校というちがいはあるけれど。

 

 いっそのことラノベにもよく使われるせいてんかんとか起きないかと考える。

 しかしそれはなんだかぼうきゃくした夢の中で、いやな体験があるような……。

 きょうれつに「やめておけ」と、目覚まし時計の音がひびいている気がする。

 

 かつて世間をさわがしたコロなんとかという病気は、びょうわざだった。

 お昼のニュース番組はなんだかさんくさい内容を放送している。

 ネット配信なのに、もう少しることができなかったのだろうか。

 

 今日は日曜日。学生にとっては休日で、のんびり過ごすにはいい日だ。

 意味もなく回想もどきの思考をするにはじゅうぶんな時間があり、現実とうにはもってこい。

 ぼんやりと窓の外をながめていることの耳にはそうぞうしい声が絶え間なく入ってくる。

 

あるじ殿どの! 時事問題がネットニュースを見てもわからないでござる!」

「数学なんざ専門学問だろうが! まじふざけんな!」

「もうだめだ……ゲームしようぜ……」

 

 覗見うかがみのるゆうが宿題の多さになげいていた。

 すでに終わった真琴、しゃおんひろかれらを半ば見張る羽目におちいっている。

 

「……平和だよねぇ」

「なるほど! それが時事問題の答えでござるな!」

「おもしろ赤点回答として先生のかたがれるね」

 

 生温かくも遠い目になる。こんなやりとりが二時間以上続いているのだ。

 先ほどまで考えていたことが鹿らしくなるほど、日常はにぎやかなまま目まぐるしい。

 いつかこんな時間もいとおしく感じるのだろうか。ただ今は早く宿題終わらせて、おやつを食べたいと思うのだった。 

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