読書感想文の内容が思いつかず血迷った末(バシリス・クライム)

 ハッピーエンド大好き男子高校生のさいサイタ――つまりおれ

 きらいな童話が『にんぎょひめ』という時点で色々と察してくれ。

 だから最初から見るのをするジャンルというのが存在する。

 

 そう……デスゲーム系だ。次点くらいに最強系か。りらしいが、なんとなく苦手だ。

 どちらもじんだろう。特に前者は確実にせいしゃが発生する仕組みだ。生き残ることでむくいとするなんて、俺から見てもごうまんだ。

 後者に関しては内容だいと言えなくもないが、それでも主人公だけで問題が解決するならば、その他大勢があまりにも無力だ。

 

 無力感。そう、この胸をざわつかせるいやな言葉が嫌いだ。

 あらがうことも許されないような、全てが予定調和へとつながるためにだれかがなみだを流す。

 全員が幸せになるとは信じていない。けれど物語の中だけでも見たい。

 

 じゃあなにが好きかって聞かれても、困ってしまう話だ。

 悲しい涙よりは、くやしくても前をえるなみだがいい。

 理不尽に打ちひしがれるよりも、歯を食いしばって立ち上がる姿が好ましい。

 

 あえて言うならばバトル系だな。悪役がりょくてきぼうかいぞくまんが大好きだ。

 昔はあんな感じの固有ほうだったら――と思ったのになぁ。あいにく、俺の固有魔法はうろこあやつる程度だった。

 最近だと西山トウゴにすすめられたゲームだな。七人の主人と七ひき使つかによる戦争から派生し、世界観がふくらんだソーシャルゲーム。

 

 まあ世の中には作品というものは波のようにあふれ、それこそ大海の中ですいてきを探すようなほうもない話だ。

 いちいちとはよく言ったもんで、興味がいても深入りしなければそれっきりの場合も多い。

 ネットかんきょうの発展により、流行というのは明確なランキングとして表示されるようになった時代だしな。

 

 流行りすたりは比例する。大好きだった漫画が打ち切られた時の悲しみを、文学風にたとえる文才なんて持っていない。

 好きなキャラが表紙をかざったと思ったら、えいになった巻を読んだ後のきょ感はひつぜつくしがたいだろ。

 なのでごのみして文句をつぶやくのも傲慢な所業だが、俺自身のあだ名が傲慢ろうなのであまり気にしていない。

 

 別にこくひょうをネットに置くわけでもなし、個人のこうから生ずる感想を作者に伝えるでもない。

 胸の内にめて、次の作品を見つけるための肥料にしていくようなものだ。

 そうしていつか――自分にとって最高と思える作品に出会えたならば、誰かに胸を張って告げる。

 

 俺が一番好きな物語だ、ってな。

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