テーブルの上で冒険を(バシリス・クライム)

 TRPGって知っているか? まあおれ――さいサイタも十分前に教えてもらったとこなんだが。

 さいころって遊ぶシナリオゲームだとか。まあためしに、ということでゲームマスターもしくはゲームキーパー的なのをくるるクルリがになうと。

 参加者は五人。俺と、ララに鏡テオ。後はだいヤマトとあまとりヤクモだ。

 

 全員初心者である。不安しかない。

 特にくるるクルリがひそやかに不敵なみをかべていたのがかなり気になる。

 

 一時間後。俺と天鳥ヤクモがロスト――シナリオ上の死亡あつかい。

 多々良ララはダメージを受けすぎて、気絶判定で失敗したらしい。とにかく動けないとか。

 しかし大和ヤマトは技能的にかつやくしまくっている。鏡テオは賽子の出目がきょうてきに良いのだとか。

 

こくせんとうありのロストひっシナリオ選んで正解。ちょうたのしい」

「おい、ねこみみろう。クリアさせる気あるのか?」

「シナリオ的には可能」

 

 言いながら進行をたんたんとこなしていく猫耳野郎。そつがないのはさすがだけどよ。

 どうやら大和ヤマトが多々良ララを背負い、次の部屋へ向かうのだとか。

 意外と想像できるもんだな。地図とか、かんじょうきょうを用意していたぎわには感心するぜ。

 

「私はファンブル……? を連発したのがだったとか、よくわからん」

 

 頭をかかえる天鳥ヤクモは、深々と息をいた。こいつの賽子の出目に関してはばくしょうしかなかった。

 ことごとくめいてき失敗をし、最終的にはめつしていた。いやー、その状況をくわしく他人に教えることができないのがしいくらいだ。

 

「この部屋ってとくちょうてきなのある?」

「目星を振って成功すればしょうさい情報を開示する」

「わかった。えーい!」

 

 二つの賽子が転がる。一から百の出目と、あらかじめ決めていたステータス数値と照らし合わせるとのことだが。

 スペシャル成功というのを繰り出した鏡テオに、枢クルリが部屋の説明をしていく。

 

「じゃあとびらこわせばいいのかな。ヤマトできそう?」

「ういっす。じゃあ技能のこれを使って……どうっすか?」

「成功。おめでとう。三人が時間内にだっしゅつできました」

 

 やる気のないはくしゅを送る枢クルリの宣言により、ゲームクリアとなった。

 

「次はもっと楽なの用意しろよ?」

「ロストなしでたのむ」


 俺たち二人の意見は通ったのか、次のシナリオはたんさくを主としたものだったが。

 致命的失敗をかえした天鳥ヤクモが、またもや自滅するのは別の話である。

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