第十二話 野草商店のトリッタ、試作品③の野草パンを作り始める……!?

  野草を何回も洗って、『ウマミ草×3』、『ニガアマ草×8』、『オイシ草×12』をあく抜きする。


「あく抜きしている間に、パン生地をこねるか……!」


 私は、小麦粉の『ササメユキ粉』を適量計る。


「パン生地を作り始めたんだね! 今回はどうするの?」

「今回は、を使うの……!」

「何、それ? 『イイスト菌』を使わないの? パン生地が膨らまないよ?」

「まあ、良いから、良いから……!」


 止めるエッセルバートをそのままに、私は『イイスト菌』の代わりに、を入れた。

 そして、程よい硬さに生地をまとめる。


「そして、これだ……!」

「何? この野草の実は?」

「『バター草の実』だよ……! これを入れるの……!」


『バター草の実』の成分は、油分が殆どで、いわゆる野草のバターだ。

 濃厚なミルクの味がするのが特徴だ。


「これを、バターの代わりにするの……!」


『バター草の実』を切って、生地に練りこんでいく。


「……! ……!」


 渾身の力で、まな板にパン生地をぶつけながら、生地をこねて鍛え上げる。


「よし……! 次は、野草だ……!」


『ウマミ草』は、3。『オイシ草』は、12。

 全て消費して、細かく刻む。

 茹でると量が減ったかのように、僅かになってしまうので、全部入れてもそこまで多いというわけでもない。


「そして、……!」

「滅茶苦茶香りが良いね!」

「それから、香辛料代わりの……!」


 そして、パン生地を練り上げていく。


「それでね、……!」


 一通りその下ごしらえをした私は、も、練りこんでいく。

 二次発酵までさせて、空気を抜いていく。

 そのパン生地を、50個に分けてロールパンの形に成型する。

 そして、パン生地を鉄板に乗せて、熱したオーブンの中でふっくらと焼き上げたのだった。

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