第十一話 野草商店のトリッタ、試作品③の野草パンの下ごしらえをする……!?

 シルヴィーン家にプレートで舞い戻ってきた私は、キッチンに直行した。

 そして、ステンレスのシンクの上に、採れたばかりの野草の入った籠をドサリと置いた。


「おかえり、トリッタ! 野草は採れたの?」

「うん、良い感じのを手に入れたの……!」


 早速、私は籠から『ヨーグルキノコ』を取り出した。


「それ、野草じゃなくて、キノコだよ?」

「そう……! エッセルバート、『ジャージットミルク』は、あるかな……?」

「うん、あるよ! 『マジカル一号庫』の中で冷やされてるよ!」


『マジカル一号庫』というのは、いわゆる『冷蔵庫』のことだ。

私の居た元の世界でそう呼ばれていた。

『冷蔵庫』のエネルギーは電力だが、『マジカル一号庫』のエネルギーは魔力で、そこだけが違う。

 要するに、『マジカル一号庫』は、いわゆる魔法道具マジカルアイテムだ。


「この『ヨーグルキノコ』を容器に入れて、温めて人肌程度にした『ジャージットミルク』を八分目ぐらいに入れる……! これを常温で保存する……!」

「えっ? 何を作ってるの?」

「これをずっと放置しておくと、『ヨーグルル』ができるの……!」

「えっ? 『ヨーグルル』? って、あっ! まさか!」

「そう、そういうこと……! まあ、明日の朝にはできるから、後は起きてからにする……!」


 そして、私は野草パンの一回目である残りの10個を食べて、自分の部屋に戻って、ようやく就寝できたのだった。

『超絶天下~ナ・ラーヌ~』との対決まで、あと三日だ。

 果たして、野草パンを完成することができるのだろうか。

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