第10話 お風呂

実験から数時間

『ロングスリーパー』

『相手の息の根を止める。技の最中は無防備になる』

チョークスリーパーが進化した

だが収穫はこれだけ

そう簡単には進化していかないようだ

「ふ~もう帰ろうかな?」

体も痛いし疲れたので帰ることにした

「はぁ~風呂はいりたい・・・」

ここ二日疲れて寝てしまったがそろそろ汚れを落としたい

「てか、風呂あるのかな???」

なんかみんなそんな素振りを見せてないけど・・・

聞いてみるかな?

そんなことを思いながらムスカ村に帰った

「よう!にいさん!!おかえり!!」

トーマスさんの明るい声

「どうも、ただいまです」

なんか久しぶりに人にただいま言ったかも

「あの・・・お風呂ってありますか?」

唐突に今日の議題を話した

「風呂?あ~それなら今日は男の日だから大丈夫だよ!!」

トーマスさんが答えた

「男の日?」

疑問を返す

「あ~そうだよ!!田舎だからな風呂釜はうちにしかないんだ」

「ほうほう」

「なんだい?あんた、村にはあまり行かなかったのかい?うちじゃなくても鉄ガマは貴重だからそんなにほいほい個人宅にはないだろう?」

そうなんだ!?

「で、ですよね~」

はじめて知ったわ~

「まぁ~鉄もある程度普及してきたから一家に一台的な時代も来るのかね??」

「そうですね」

そうか~鉄は貴重なんだな~

「じゃ~あんたの番になったら呼ぶからな!!あとあれかい換金?」

「よろしくお願いします」

アイテムを換金して部屋へ

「やっぱり、いろいろと違いはあるもんだな~」

部屋で何となく思った

今までは当たり前のことも

この世界では当たり前ではない・・・

異世界だからそうなんだけど聞かないとわからないことだらけだ

「今日は疲れてるしゆっくりつかろ~」

そう思い自分の番まで待つことに

・・・数分後

「にいさん!つぎいいよ~」

「は~い!!」

いよいよだ~

「風呂はそっちだよ!!」

外の小屋を指す

「あ~あれなんだ~」

「おう!今日はあんたで最後だ、ゆっくりつかってくれ」

「ありがとうございます」

お礼をいって小屋に向かう

さてさてどんな感じかな~

煙が上がる小屋にわくわくで向かう

すると

「どうも」

男の人が顔を出す

「どう・・も」

突然の登場にビックリする

「あ、にいさんが宿泊してる??」

「はい・・・」

「こんな田舎の村に滞在なんて珍しいからね!」

知らぬうちに有名人に?かな??

「私はニックです!トーマスさんの手伝いと農業してます!」

「どうも、タケシです」

頭を下げる

「タケシさん?やっぱり、旅の人は変わった名前ですね~」

「そうですかね?」

そういえば、みなさん西洋的な名前・・・

タケシなんてどこにでもある名前もここでは珍しいのか~

「火加減は言ってくださいね!!」

「ありがとうございます。」

そういって戸を開けるとそこには

「やっぱ五右衛門風呂!!」

ニックさんの言葉から何となく予想していたが

「いくら俺でもはじめてだな~」

とりあえず服を脱ぎ

浴槽へ

「よし!!早速!!」

お湯をすくい体にかける

「あつ!!」

やばいくらい熱い!!

ニックさんに

「あの!ちょっと熱いんですが~」

「あ~そこにある水で冷ましてください!」

横に桶でいくつか水がある

「わかりました~」

そういって水を足す

「今水も汲んでくるんで待っててくださいね~」

ニックさんがいう

「はぁ~お風呂も大変だな~」

あらためて現実の世界の便利さを痛感した

そんなこんなお風呂に入ってゆっくり

ニックさんとも仲良くなった

これが本来の人間関係なのかもね

「それにしてもタケシさんの話は不思議で楽しいですね~」

「そうですか?」

風呂上りニックさんと話す

「二ホンですか?ずいぶん平和な国もあったんですね~どこにあるんですか?」

「え~遠くですね」

勢いで話したがずいぶん魅力的だったようだ

「遠く?そんなにですか?」

「そうですね・・・かなり遠いです」

「そっか~残念だな機会があったら行きたかったな」

ニックさんが残念そうにする

「いつか行けますよ・・・」

「だといいですね!タケシさんがうらやましいです」

ニックさんが話す

「私は戦闘とかは全然で・・・村から出るなんて夢のまた夢ですね」

「そんなことは・・・」

「ははは、優しいですね~でも大半の人は村からもしくは町からは出ることは難しいですよ」

そうなのか?

「タケシさんみたいな旅人か冒険者、もしくはハンターのような戦闘に精通した人じゃないとモンスターは恐ろしいです。この周辺のモンスターは弱いですが、間違えてしまったらそれこそ命はないですからね」

「そうですか・・・モンスターがいなくなる・・・ですか」

「そうですね・・・でも魔王がいる限りいなくなることはないでしょうね。あとはモンスターを商売にしている人たちもいますし、一概にはなかなか」

ニックさんが苦笑いしていた

魔王の討伐・・・

そういえば最初の手紙にも書いていたな・・・

それが俺の使命・・・

一般の人達の願いを叶える

その思いが込められていたのか・・・

「あ!タケシさん湯冷めするので部屋へ」

「ありがとうございます!ニックさん!!」

お礼をして部屋に戻った

この少しの時間だけどこの世界の人たちの

暮らしを垣間見た気がする

生き抜くだけではなく村の人

この世界に生きている人の思いみたいなのも

知らないといけない

そう思える時間だった

明日はもっといろんなことを知らないと・・・

情報集め

そこをもっとしていこう

そう思い今日は眠りについた

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