第9話 実験

痛い体をずりずりと引きずる音を出す勢いで

目的地の草原へ

「歩くだけで辛い・・・」

そうつぶやきながら盾を準備する

「今日は実験をしましょう!!」

盾を天に掲げて決めポーズ

うん、こういうのは形から!

気合が大切!!

今回の実験は

名付けて!!

シールドバッシュを試す!!

そのままなタイトルだが攻防一体のナイスアイディア!!

シールドバッシュは基本相手を崩す技だが

実際で試すならそれで攻撃を加えることができないか

それを知るいい機会だ

「ゲームだと盾で押し込む感じだけど・・・」

小型の盾のグリップを握りこみ

「パンチ!!」

盾を持ちながらストレートを繰り出す

「うん」

風の抵抗は感じるものの

「振れないことはないな!!」

感触をたしかめてから敵を探す

この前みたいに草原ではあまり複数の敵に合わない

一対一なら試したいこともできるし

ダメージも受けることなく終わるだろう

そんなことを思いながら草むらを分けると

正面から出刃リスが!!

「スピードもそこまでなこいつなら!」

とりあえず、初手を奪うため

戦闘態勢をとる前の出刃リスを盾で殴る

「キュー」

声を上げながら出刃リスが飛んでいく

だが

すぐに態勢を立て直しこちらに向かってくる

(ふむふむ一撃では倒せない・・・か・・・)

そう思いながら出刃リスが飛び込んでくるのに合わせて盾を当てる

「よし!!」

本来の使い方

ダメージを食らわないのも実感

相手の攻撃をはじき体制を崩した時にまた

「パンチ!!」

盾で殴る!!!

あんなに罪悪感でいっぱいだったこのファンシーなモンスター・・・

今では

「死ね!!!」

「キュー」

「おら!!!」

「キューー」

「けっけっけーくたばれ!!!」

「キューーーー」

バタ・・・・ピクピク

消えていった

「よっしゃ!!」

この通り何の抵抗なく消すことができました!!

出刃リスのドロップアイテムの前歯を拾いながら

「なんとか倒せたな・・・」

計5回攻撃を与えた

ダメージを与えることは出来てるみたいだが

一回一回のダメージは少ないようだ

「やっぱ、もともと防御のアイテムだからな」

そう思いながら

便利端末で今回の成果を確認する

『シールドバッシュ』

『相手に少量のダメージを与えながら体制を崩す』

特技の欄に新しく記入されていた

「うん予想どうりだな!!」

特技の欄は意識して技を出した時に更新される?ようだ

これは少し試してみないとな

そう思いながら次の出てきた敵には

「アッパーカット!!」

「ブー」

グルグル

目を回している

「チャンス!」

盾を構え

「盾パンチ!!」

「ブーー」

パタ・・・

「しゃー!!」

ウリウリボーを倒した

すかさず端末チェック!!

『アッパーカット』

『相手に打撃系のダメージを与える。相手を脳震盪を与えることがある』

特技ゲット!!

キックばかりだと今回みたいに筋肉痛なったら困るからな!!

しかも手の方が盾とのコンビネーションもしやすい!!

この調子で!!

学生時代に培った格闘技の技を何個か試した

その結果

『たたきつけ』

『相手を持ち上げ地面にたたきつける。大きなダメージを期待できる』

『チョークスリーパー』

『相手を気絶させる』

二つの特技を手に入れた

「なかなか有益な実験だな!!」

実益と実戦を兼ねた試みはこの後まだ続いた・・・

そして

「盾パンチ!!」

「ケェーーー」

バタ・・・

ミニゴブリンを倒した!!

うんうん、だいぶ盾を使ったパンチ

シールドバッシュも板についたな!!

そう思いステイタス確認も含めて端末を開いたら

ビックリマークがついてる

「??なんだ??」

タップして調べると

『シールドアタック』

『盾を使った攻撃、盾の防御力が高いほど威力が増す』

『シールドバッシュの上位互換』

「おおおぉぉぉぉ」

レベルは1しか上がらなかったが

技が進化した!!!

「そうか・・・進化する技もあるのか・・・」

ゲームでもよく回数をこなすと進化する技がある

それと同じシステムがこの世界

いや、俺の中に組み込まれてるのか・・・

ステイタスはあまり上がらないかもだが

技は磨くことができる!!

それは大きな収穫だった

しかも体に技を体になじませる

そんな感覚なら尚更やりやすい!!

「ゲームじゃないとは言ったもののこうなると極めたいな!!」

元々のカンスト魂がくすぐられる

自分の人生は未完成で終わったことばかりだが

この世界なら・・・

人生をかけた何かを作れるかも

そう思いながらあと少し試すことにするのだった

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