第8話 筋肉痛

「なぁぁぁぁ、いぃぃぃぃぃぃたぁぁぁぁぁいぃぃぃぃ」

朝あまりの痛さに目が覚める

体が痛い

特に足が痛い

「うぅぅぅ、太ももがだるい。足が痛い!!!」

これは遅れてやってきた筋肉痛・・・

そして、連続キックによる打撲・・・

「まさかこんな副作用があったとは・・・」

はしゃいでキックに勤しんだ日を悔やむ

しかも、日にちを経てから来るところが

「おやじだな・・・」

言葉がこぼれる

しかも、あちこち何となく痛む

とりあえず、ステイタスで状態を調べてみようか

・・・

ふむ

異常は表示されない・・・

筋肉痛、打撲は状態異常にはならないと!?

ち!!人間をなめやがって!!!

それより・・・

「HP回復してなくない??」

前夜寝る前のHP37

今回はHP48・・・

11しか回復できてない!?

「なんだよこれ!!全開じゃないのかよ!!」

RPGでは宿に泊まり寝たら全開は常識!!

だがしかし!!

「おやじだからか!?おやじは寝たところで疲れを引きずると!?」

みょうなところでシビヤなこの世界

年相応、生きてきた経験相応の見返りがある

それは良くも悪くも・・・

「・・・まぁ~、いいこともわかったし落ち着くか」

心を静めて昨日のことを思い返す

トーマスさんが言ってた

「素手でモンスターを倒す奴」

これはおそらく現実の俺の経験が生きているようだ

学生時代、オタクを隠す隠れ蓑として

スポーツをやった元々ガタイがよかったので

柔道をやりそのおかげか力が付き

そして攻撃の機微を学んだ

また、当時総合格闘技もブームになり

女の子にもてたいがために

打撃の練習なんかもした

その結果今の世界にその経験が生きたようだ

そして

力は仕事上また、学生の経歴上

建築や今は運送、清掃至るものの力仕事を請け負う

何でも屋で働いて長かったので衰えることなく

この世界に生きているという

まさに人生をかけた経験値稼ぎをした賜物が

いかんなく発揮された!

と考察する

「しょうもない人生も少しは役に立つとは・・・皮肉だな」

何となく遠くを見つめる・・・

だが、その経験値稼ぎに費やした時間

つまり年齢もしっかり反映されている

よく見るとHP以外のステイタス上りが少ない

MP0のまま、スピードも変わらず

インテル(学)も2ぐらいしか上がってない・・・

「力と体力への極ぶりみたい」

ゲームならそれでもいい

けどこれは俺にとっての現実・・・

力と体力だけでは生き残れない!!

「そのためには、これだ!!」

昨日買った盾を手に取る

今まで防御を軽んじていたが

身を守る大切さを知った

そして今朝さらにダメ押しをくらった

「寝ることでの回復もままならない、しかも回復手段もない・・・なら!!ダメージを少なくする!!」

小学生でも解ける簡単ドリルのノリで断言してみた!!

だが、小学生でも解ける問題のままではお子様しかし!!

僕は大人!!

さらに一歩進んだ答えを導く!!

「スピードのない俺に動きで防御をするのには限界がある・・しかし!!盾でいなすことでダメージ小さく攻撃に転じるすべを身に着ける!そこに勝機あり!!」

戦国武将なセリフを大きな独り言でいう

「うん、満足」

回想を頭の中に戻した

今までに述べたように

スピードがないので躱すこともそこまでうまくない

それに大勢に囲まれたとき一匹躱しても

次の奴の追撃をくらう

それではいくら体力があっても

そのうち力尽きる

それは攻撃が刃物や鋭い爪などになれば尚明快だ

しかし、防具を付けた上にシールドで防ぎながら戦えば自ずとダメージは減る

しかも、いなすことにより反撃への機会もできる

今の俺には一石二鳥な戦術

そして、あわよくば更なる手段が手に入る・・・

「ふっふっふー自分の才能が怖いぜ・・・」

そんな言葉を残し一回へと降りるとトーマスさんが

「あんた、大声で誰としゃべってたんだい?頭打たんか?」

と怪訝な目で見送られた

ほどなく俺には

『変人』

の称号が手に入った

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