第7話 相談と買い物

「おう!にいちゃん!!ずいぶんとまぁ~」

宿兼万事屋のトーマスさんが声をかけてくれる

「あはは・・・ちょっと大変でした」

苦笑いしながら答えた

「そんな変わった格好じゃ戦闘に耐えれないだろ!?」

「そうですね、ところで・・・」

「換金かい?」

「はい!お願いします!」

カバンの中から今日の成果を出す

30いくつかのアイテムをテーブルに広げた

「ほ~ボロボロなかいはあったみたいだな!」

そういうとアイテムを数えて

「今日はいろつけて700でどうだい?」

「え?かなり多いですけど・・・」

「いいんだよ!今日も泊まるんだろ?うちに落ちるゴールドなんだ!お客は大切にしなきゃな!!」

笑顔で話しかけてくれる

さすが顔役人の心をつかむのがうまい

「ありがとうございます!!」

「いいってことよ!」

豪快に言うその姿はなんか異世界の住人を感じる

やり手の商人はこんな感じなのだろな

そう思わせるには十分な貫禄だった

「じゃ、昨日と同じ部屋でいいかい?」

「はい、それと相談なんですが・・・」

今日のことを通して

この世界で生きるためにこの人の知恵を得たかった

「実は今日ルルクの実をとりに行って・・・」

「あら~行ったのかい?だからか~よく生きていたな!!」

お疲れさまという感じでねぎらってくれる

「はい、で!いままでモンスターに囲まれることがなかったんですが今回その危険性を知りました。そこで囲まれたときどのようにすればいいか教えてください!」

素直に教えを乞う

正直ゲームの操作だけではこの問題は解決できない

まずはこの世界の生き抜き方、戦闘の仕方を知ることが大切だ

「囲まれたときか・・・正直俺も戦闘が得意なわけじゃない」

そこで区切りを一つ

そして

「だが、俺は万事屋だ。装備を整える・・・それで守れる命もあるってことさね~」

ですよね~ただでは教えてくれないよね~

まぁ、やり手の商人・・・商売の匂いにはしっかり食いつくか・・・

「まぁまぁ、そんな顔するなよ!!別に強引に何か買えってわけじゃないさ!!」

そういうと身を前に乗り出し

「ちゃんとにいさんの戦闘スタイルにあった物を薦めるからさ!」

肩を叩き、裏に一度はけた

時間を待たずに手に武器の類を持ってきて

「さぁー!!教えてくれ!!見繕うよ!!」

テーブルに広げて俺の戦闘スタイルを聞いてきた

だが・・・

俺って戦闘スタイルある??

今までは・・・

モンスター→よける→蹴る→ファンシー!!泣

である。

これはなんというスタイルか・・・?

「?ん?どうした?にいさんは何で戦ってるんだい?」

「剣かいナイフかい?それとも魔法?」

おやじさんが矢継ぎ早に聞いてくる

「あの・・・」

「どうした??」

「・・・蹴るんです・・・」

「はぁ?」

おやじさんがハテナマークを浮かべる

「なんだって?」

小声で

「蹴るんです」

「蹴る?」

「はい、蹴ります」

「あー・・・・」

おやじさん改めトーマスさんは呆然とする

「にいさん蹴ってモンスター倒してるの??」

「はい、蹴り殺してます」

変な空気が二人のあいだに流れる

その空気をブレイクしたのはおやじさん改めトーマスさん

「いや、モンスターを蹴り殺すって・・・どんな怪力だよ!!」

若干切れ気味に聞かれる

「普通です!!ただ普通にいたら蹴り殺せたんです!!!」

「普通の奴は蹴り殺さないの!!!」

「ですよね~」

いっそチャラついてみた

「ですよね~じゃないよ!!よくそれで生きれたな!いままで!!」

「はぁ~」

生返事で返す

おやじさんはすでにトーマスを超えてパオーンであるが

「まぁー素手でモンスターを倒す奴もいないわけでないが・・・まさかここにいるとは・・・」

なんか珍獣気分

だがとりあえず話を続ける

「やっぱ、武器は必要ですかね??」

おやじさんは少し考えて

「まぁ~武器がなくても倒せるなら極論なくてもいい。だが!」

そういうと作業着をつまみ

「この薄い服かい?これだけじゃ防御はできないだろ??」

「たしかに」

「そこはせめて上に鎧、盾ぐらいはあったほうがいいんじゃないかい?」

ほ~確かに!!

頭で納得した

「そうですね!!あるんですか?鎧?」

「まぁ、鎧とまでいくと少しお高いそこで、この皮のアームカバーと足のカバーそれと胸当て!これなら500で売るぜ!!」

う~ん、初期装備としてはこんなものかな?

「わかりました!お願いします!!」

「毎度あり!!」

商談成立!だがもう一つ必要と感じ聞いてみる

「あの実はもう一つほしいのがあるんですが・・・」

「なんだい?」

「盾がないかと?」

すると驚いた顔で

「盾かい?にいさん剣で戦わないならいらないんじゃないかい?」

たしかに剣がないならなかなか使い方が難しいだろう

しかし秘策があったそれには盾が必要だった

「いちよう持っておきたくて」

「ん~そうかい?ならこの木の盾ならどうだい?」

シンプルなつくりの木の小盾逆に使いやすそうだ

「それでお願いします!!いくらですか?」

「防具とセットで600でいいよ」

「ありがとうございます!!」

「まぁ~いろいろおどろいたが、にいさん大物になるよ!」

そういっておやじさんは笑う

その笑顔に見送られ部屋に向かう

正直、防具は初めにそろえるタイプではなかった

強い武器でガンガンいくスタイル・・・

現実はそうはいかない自分の身体的な特徴をもとに

堅実に事を進める

そうしないとレベル上げもままならない

「はぁ~一番のクソゲーは現実・・・か」

どっかの誰かが言ってたセリフ・・・

確かに、一度失敗したらゲームオーバー

コンテニューなしの一発勝負

リセットも再起動もない

それはもうゲームでは片付けられない

そうこれは正真正銘の俺の人生なんだと痛感した

「俺は大人、飲み込みは早い!はず・・・」

言い聞かせながら今夜は眠りに落ちた

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