第117話 副団長は妻とまったりする
明日には新婚旅行から帰ることになる。
少し寂しい気持ちが強いけど、そんな中動ける最終日の本日、俺とアリスは海辺でまったりと過ごしていた。
海で遊ぶ、街に出ると選択肢はあったけど、俺もアリスものんびりとした時間を欲していたのかもしれない。
「あ、エクス。今遠くで大きなお魚が動きましたよ」
「本当だね。イルカかな?」
「あれがそうなんですか。なんだか可愛いですね」
海を眺めては、何気ないことで楽しそうにはしゃぐアリス。
楽しんでもらえてるのなら俺としてはこれ以上なく嬉しいが、寄り添ってくるアリスが非常に可愛くて海よりもアリスで満足してしまっている俺がいる。
やはり可愛いは正義だ。
「不思議です」
そんな事を思っていると、アリスがくすりと微笑む。
「エクスと結婚出来て、夢みたいに幸せなのに、こうしてエクスと何気ない時間を過ごしてると、もっと幸せになります」
夢見たいに幸せか。
「俺もそうだよ。アリスの婚約者になれて、無事に結婚出来てこうして新婚旅行に来れて凄く幸せだ。でも、まだまだこれから先もアリスと一緒に色んなことを経験して、乗り越えて、もっと幸せになりたい」
「エクス……私もです。私もエクスと一緒なら、どんな事でも乗り越えていけます」
「お似合いの夫婦になれそうだね」
「ですね」
そう微笑み合う。
新婚なんて周りから見て恥ずかしいぐらいのラブラブ具合で丁度いい。
昔、誰かがそんな事を言ってたっけ。
とはいえ、俺の場合生涯現役でアリスラブになりそうだけど。
おじいちゃん、おばあちゃんになっても変わらずイチャイチャするようなそんなレベル。
老後は老後なりのイチャイチャを追求できそうだけど、まあ、それは後の楽しみに取っておく。
今はこのアリスとの時間を楽しまないと損だしね。
ゆっくりと、手を重ねると指を絡ませてそっとアリスと口付けをする。
健全で爽やかなキスだけど、唇をゆっくりと離すとアリスはまだまだウブな反応を返してくれる。
頬を赤くして、照れる様子が非常に可愛い。
何度となくキスはしていても、その度にこうして可愛い様子を見せるのだから本当にアリスは最高すぎる。
「今夜、食後にアリスと行きたいところがあるんだけど……来てくれるかな?」
「はい、勿論です」
詳細も聞かずに頷くアリスさん。
信じてくれているのがよく分かって凄く嬉しくなる。
他の人の誘いにはこうして頷かないように……というのは言わなくても問題ないけど、一応言っておく。
独占欲バリバリなのは仕方ない。
俺は俺だけのアリスを独り占めしたいのだ。
そんな風にアリスとイチャイチャしていると、ヒロインがジュースを置いて静かにさがる。
アリスに気を使って存在感を消しているけど、ご機嫌なのはよく分かった。
きっと、隠しキャラと海でイチャイチャ出来たからだろう。
昨日、俺たちの街歩きの時間に二人で海で遊んだらしいし、水着姿で悩殺でも出来たのだろうが、それにしてもヒロインのような腹黒に愛された隠しキャラのべリスは大変だなぁ。
まあ、俺の場合はアリス以外に魅力を感じないのだが、例え感じてもヒロインだけは選ばない気がする。
面倒くさいことになりそうだし。
「時間が経つのは早いですね」
「そうだね」
ふと、アリスの呟いた言葉に俺は頷く。
「明日には帰ることになるね」
「少し、名残惜しいです」
同じ気持ちだけど、俺よりも初気持ちな気がする。
清らか乙女なアリスさんマジ天使。
「だね。また来ようか。今度の時は別荘も完成してるだろうし……それに、その時には家族が増えてるかもしれないしね」
「……はい」
照れつつも頷くアリス。
毎晩愛し合ってるし、正直かなり早く子供ができる気もするけど、二人きりの生活も好きなので迷いどころ。
母上やお義母様辺りからは、孫を切望しそうな気配を感じなくもないけど焦ることもない。
俺たちのペースで進めばいい。
「エクス」
「なんだい?」
「えへへ、エクスエクス」
控えめなのに非常にハートを鷲掴むような絶妙な甘えた方をしてくるアリス。
やっぱり、小悪魔さんの才能があるよアリスには。
じゃれてくる可愛い婚約者とまったりと過ごす贅沢な一日。
忙しない日々だっただけに、この、のんびりとした時間が非常に心地よい。
副団長になって、忙しくなるだろうけど、今後もアリスとの時間は大切にしないとね。
副団長どころか、なるべく早くロスト子爵家の家督と、騎士団長の地位を貰っておかないといけないし、やる事は多い。
でも、新婚旅行が終わったのなら次は新婚生活のターン。
イベントをこなして、もっとアリスと絆を深めていきたい。
イチャイチャラブラブして、子宝に恵まれるように夜も頑張ろう。
あくまで、アリスに負担をかけない範囲でだけど。
エクスさんの体力は無尽蔵で、夜もそれは変わらないので、アリスを愛ですぎてアリスが大変にならないようにある程度はセーブしないと。
でも、可愛く甘えてくるアリスが可愛すぎるんだよなぁ……頑張ろう。
遠くでクジラらしきものが浮かんでくると、またアリスは楽しげな声を上げるので、俺はそれに微笑みつつこの時間を堪能するのであった。
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