第111話 副団長は妻と朝風呂を楽しむ
夫婦になって変わったことの一つ。
それが、一緒にお風呂に入ることだと思う。
お互いに裸を何度となく見ているはずだが、シチュエーションが違うと感じ方も受け取り方も変わるようで、俺は一緒にシャワーを浴びてるアリスに視線がついついいってしまう。
水も滴る良い女……という言葉が相応しいけど、女神の水浴びと言われても違和感のない素晴らしい光景。
整ったプロポーションと白くきめ細かい裸と水滴のコントラストが最高すぎて俺は朝から更に活力を得られた。
「アリスの髪は凄く綺麗だよね」
「もう……エクスったら、毎日それ言ってますよね」
「それくらい素敵なんだよ」
優しくアリスの髪を洗うけど、濡れて艶やかになった銀髪も素敵なものだ。
「エクスの髪は少しくすぐったいですね」
「そうかな?洗いにくい?」
「いいえ、とっても可愛いです」
洗いっこと言えば良いのだろうか?
お互いに洗い合うけど、アリスは俺の髪を洗ってる時が一番落ち着いてるように思える。
母性すら感じる笑みを浮かべているので、気に入ってくれてるようだ。
まあ、互いの体を洗い合う時は、互いに中々大変になるけど。
エクスさんの筋肉質な体つきにドキドキしながら、優しく洗ってくれるアリス。
その献身的な姿が尊くて愛おしいけど、それはそれとして時々密着することで感じる肌の体温で俺はどうにかなりそうだ。
毎秒、込み上げてくる気持ちを抑えるのにいっぱいいっぱいになるので、照れてるアリスとこの時は無言になる。
反対に俺がアリスを洗うターン。
こちらはこちらで、アリスは恥ずかしがって目を瞑ってしまうので無言となり、俺は柔らかいアリスの肌にご乱心しそうなるのを抑えるので精一杯になる。
昨夜も抱いただろって?
何度だって好きな人裸には価値があるのだ!
なお、恥ずかしがってるアリスだが、洗うのをやめようとすると「やめないで……」と切ない声を上げるので反則だと思う。
無意識なのだろうが、そういう所ですよアリスさん。
そう思いながらもお互いに洗いっこしてから、湯船に浸かる。
お高いだけに中々に広い風呂に身を寄せ合うように一緒に入る。
「朝風呂はやっぱりいいね」
「ですね」
洗いっこでドキドキしていたのだが、それはそれとして湯船に浸かることで不思議と心が解れたようにお互いに和む。
ぴとっと、抱きついてくるアリス。
「エクス」
「何だい?」
「ふふ、呼んでみただけです」
「そっか」
「はい、そうです」
交わす言葉の全てが心地よい。
「明後日には帰るんですよね」
「そうなるね」
新婚旅行でのんびり出来るのは、今日と明日を残すのみ。
明後日には帰ることになるが、正直このままアリスとここで永遠に暮らしたい気持ちになってしまう。
海辺でスローライフも悪くないだろう。
「少し寂しいです」
同じ気持ちなのか、アリスがそう呟く。
「何度だってまた来よう。それに、まだまだ今日と明日がある。アリスは他に何かしたいことある?」
「私は……エクスが傍に居てくれれば、それだけで幸せです」
……アリスさんや、心からの笑みでそれはズルいってば。
益々好きになっちゃう。
「俺も同じだよ。アリスと一緒に居られる時間が一番幸せだ」
「えへへ……エクス」
そっと身を寄せてくるアリス。
それを優しく抱きしめつつ、朝風呂を満喫する俺は……控えめに言ってもこの世界で一番幸せな男だと思う。
このまままた愛し合いそうにもなるけど、そういうのは夜の時間と決めてるし、アリスに負担はかけられない。
この溢れる想いはきちんとしまっておかないといけないのだが……嬉しそうに抱きついてくるアリスが可愛すぎてセーブが効くか少し不安にもなる。
それに、こうしてのんびりとアリスと過ごすのはそれはそれで悪くない。
激しく求め合うのも好きだけど、のんびりと夫婦の時間を過ごすのも最高。
我ながら大人になったものだ……愛でる方法も直球も良いがまったりアリスを楽しむために我慢も覚えた。
それに、心と心が通じあってるようなじゃれ合いも最高だし、アリスを愛でるのに限界はないと知れたのは大きいよね。
婚約者の時とは距離感も変わったのだろうけど、この気持ちは全くブレることがなかった。
むしろアリスへの気持ちは日々強く、より深くなってる気がする。
アリス以外の煩わしい物は排除したいけど、それはそれでアリスとのイチャイチャイベントになる事もあるし悩みどころ。
俺はアリスだけ居ればいいが、これから産まれてくる俺たちの子供たちや、アリス本人のためにもある程度の煩わしい俗世の事柄は仕方ないと受け入れている。
面倒ごとは手早く片付けるに限るし、アリスとの時間は有限だ。
時間は大切。
それは勿論だけど……それはそれとして、やっぱりこうしてのんびりイチャイチャする時間は最高だと思う。
アリスとの時間……プライスレス。
そうして二人でのんびりと朝お風呂を楽しむのだった。
ベッドでののんびりとした時間もいいけど、朝風呂という贅沢をアリスと堪能出来るのも悪くない。
やっぱり俺はアリスが大好き過ぎるのだろうとしみじみと思いながら、アリスの心地よい鼻歌を楽しむのであった。
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