第99話 副団長は妻と水遊びをする

「あの……エクス。これ凄く恥ずかしいです」


そう言いながらモジモジする我が天使のアリス。服装は海らしく水着を用意しました。ええ、もちろん赤のビキニですよとドヤ顔する。いやー、この為にこの世界にはない水着を作っておいて正解だった。貴族社会でこんなことは出来ないからねぇ。


「凄く似合ってるよ。可愛い」

「照れます……」


そう言いつつアリスは先程から視線を泳がせていた。当然のことながら俺も海パン一丁なのでアリス的には目のやり場に困るのだろう。何度か俺の上半身と下半身を恥ずかしそうに……でも興味深そうに見つめているが、今のところは腹筋が地味に気になっているようだ。


にしても……アリスの裸は最近になってよく見るようになったけど相変わらずスタイルもいいし肌も白くて本当に綺麗だ。今すぐお持ち帰りしたい欲求をなんとか抑えてこの状況を楽しもうとするとアリスは海辺を見てから思い出したように聞いてきた。


「あの……誰か来たらどうしましょう……」

「うん?ああ、それは大丈夫。貸し切りにしてるからね」

「貸し切りですか?」

「うん、そう」


かなりオブラートに包んだけどそれはそれ。人が来るなら俺が水着のアリスをそのまま晒すわけないんだよねぇ。予め領主には話を通しており、ダメ押しで人払い出来る魔法を発動してるのだ。しかも今居る場所はメインの浜ではないので、そこまで気にする必要はないし、さらに言えばこの一帯を土地ごと買ってもいるので完全なるプライベートビーチと言っていいだろう。だから人間は絶対に来ないと言える。いやー、こんなに可愛いアリスの水着姿は異性はもちろんのこと同性にも見せたくないのだよ。


「それよりも遊ぼうか。アリスは泳いだことないよね?」

「はい。ちょっとドキドキします」


そう言いながら自然に手を繋いでゆっくり水の中に入る。だいたい膝の高さまで来てからアリスはくすりと笑って言った。


「ちょっとくすぐったいけど……気持ちいいですね」

「それなら良かった」


近くによると俺はアリスの水着姿をガン見してしまいそうになるのを抑えるのに必死だった。だってさ!めっちゃくちゃ可愛いんだもん!なんなのアリスったらマジで俺をどれだけ魅了したら気が済むんだよ……アリスが俺専用の魅了の魔法使えるって言われても信じるレベルだよ。まあ、ただ単純に俺がアリスにベタ惚れしてるだけなんだけどさ。


「エクスは海には慣れてんですか?」

「ある程度はね」

「じゃ、じゃあその……その姿も他の方に見せたりしたのですか?」


まさかアリスからそんな言葉が聞けるとは……徐々に独占欲が増してて俺得すぎるねぇ。密かな野望のアリスヤンデレ化計画も少しづつ先が見えてきたって感じかな?まあ、まだまだ序の口だけどね。


「まさか。アリスにしか見せるつもりはないよ。それにアリスのその姿を見るのも俺だけだからね」

「それなら良かったです……あ、あの私もこの格好はエクスだけに見て欲しいので……」

「それならもう少し眺めてもいいかな?」

「はぅ……でも、やっぱり少し恥ずかしいですぅ……」


嫌とは言わない辺り本当にアリスは天使だと思う。赤くなって水着姿でモジモジするので脳内メモリーがさらに圧迫されるの覚悟でシャッターをきりまくって脳内に焼き付ける。脳内限定ならアリスの写真集を1万冊は作れるレベルまで撮りためてると思うよ、うん。


そうしてアリスを愛でながらカップルっぽい感じの水の掛け合いから始まり、軽く泳ぎのコツを教えたりした。アリスは筋がいいのですぐにクロールをマスターしたけど……入水時のアリスの姿になんともいえないセクシーさを見出した俺は変態かもしれないと今更ながら思うのだった。


アリス専門の変態ならある意味名誉だが……アリスにはなるべくカッコ良く思われたいのでエクスさんスマイル全開でいくのは忘れない。


こうしてアリスと遊んでると、なんというかここ最近までの頑張りが全て報われたような気がするのだから俺って奴は現金なのだろう。まあ、結婚式の時もアリスを夜愛でる時も似たようなことを思うのだから今更か。いやさ、だって俺にとってアリスとの時間って何もかもご褒美みたいなものだからさ。本当にアリスさえいればそれだけでいいけど……せっかくなら俺とアリスの子供にも幸せになって欲しいから煩わしいことも頑張るしかない。


そう、この新婚旅行はその煩わしいことを前もって片付けていたから何もないとこの時の俺は思うのだった。人間関連の問題ばかりを見ていたのだから俺もまだまだなのだろうが……それでもさ、事前に面倒事に発展しそうなことは潰したつもりだったのさ。


まさか人間以外の種族が俺に厄介事を持ってくるとは正直思わなかったが……まあ、それはもう少しだけ後のことだし、起こってしまうのは仕方ないと割り切るしかない。それにしても、世界はどうあっても俺とアリスのイチャイチャを邪魔したいようだ。いっその事神様って奴に1度話をつけに行っても良さそうだが……アリスとの時間を削ってまでやる気にはならないし悩みどころだ。総合的に考えれば厄介事は全て潰すべきなのだろうが……本当にこの世は煩わしいことばかりで俺の癒しはアリスオンリーなのは全く変わらないのだから、結局俺はアリスが大好き過ぎるのだろうと思う。



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