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母が家を空けて半年が経った頃、私は趣味の読書で面白そうな話を見つけました。
それはオーパーツから読み取る旧世界の実態。不可解な現象としか言い様のない空白の50年の真実。そう言ったものを追求する本でした。
この話を読んで興味を引かれた私は、使用人に家の事や資産管理を丸投げし、一応母にも手紙を出してから不思議で面白そうな事を探す旅に出たのです。
元々オーパーツには興味がありました。なんせ母が私を娘として迎え入れたくれた日、彼女はカプセルの中で浮かぶ私が抱きかかえていた不思議な物体を持ち帰って来ていたのです。後から判明した事実ですが、これは異例の形をしたオーパーツの類でした。
母から貰ったバタフライナイフは、家の宝物入れに仕舞ってきました。今持ってるのは自分で買ったバタフライナイフです。
私はナイフをカチャカチャしながら、まだ見ぬ未知に胸を躍らせながら旅を始めたのでした。
〇
……随分と長く昔話をしてしまいました。
話を聞いていたユズも、気が付けば寝てしまっています。
そう言えばバタフライナイフは戦闘に向かない筈なのに、どうして私がその様なナイフを使ってるのか疑問に感じたかもしれません。
それは母からの初めてのプレゼントだったからです。故に手放したくなかった。
つまり早い話が、忘れられない思い出の品だから無理してでも使ってるって事です。まぁそれでも武器とては頼りない事は否めませんが……。
気が付くと空は少しずつ明るくなり始めていて、小鳥のさえずりが夜明けを知らせてくれています。
「少しは寝ないと、途中でバテちゃいますね」私は大きく背を伸ばしながら呟きました。
眠りに就く前に、私は窓を開けて冷たい風を感じながら、ちょっと黄昏ていました。
「お母さま……久々に会いたいです」
吹き込んでくる風がそっと髪を撫でました。
「寝ましょう」私は呟いて、ベットに潜り込みました。
所で、あの裏騎士の隊員……ジャックは、何処でバムル村の情報を得たんでしょう?。
……思い返してみても、かなり謎の多い任務でした。
そう言えば麻薬園の長とユズって髪の色も顔付も激似なんですよね……。彼の娘は私と同い年位らしいですし、きっとユズの様な子なんでしょうね。
と言うかジャックとユズも雰囲気が似てるし、敵にも慈悲深い所とかジャックも長も同じだし、もしかしてこの三人……何か共通点があったりとかするんでしょうか?。
「……まさか、ありえないですよね」
まぁ今はそんな過ぎた事を考えず、気楽に旅をしていければいいです。裏騎士も私に用があれば向こうから近付いて来るでしょうし。
流石に眠気で瞼が重くなった私は、横で寝るユズに掛け布団を掛け直してあげると、眠りに就くのでした。
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