第6話:油断大敵雨あられ

雨が強くなりました。

響き響き渡る雨の音。

薄暗いトンネル。


獣の鳴き声が響く。


「犬……?」


13は首を傾げます。


犬はうめき声をあげながら角をはやします。


「え?鬼犬おにいぬ……?」


鬼犬。

それは国際連合軍COOKが作り出した生物兵器のひとつです。


「ってことは僕は軍に狙われているの?」


13は小さく笑い銃を構えます。


「グルルルルルル」


威嚇の音が鳴り響きます。

そして素早い動きで13に飛びかかろうとしました。


「待て!」


セーラー服を着た女性がそっと現れると犬鬼は小さく止まりました。


「グルル」


鬼犬はその場にペタンと身体を地面につけました。


「怪我をしているじゃないか。

 どうした?」


鬼犬は小さく悲しそうに鳴きます。


「我の食事の邪魔をするのは誰ぞ?」


低く恐ろしく悍ましい声がそのトンネルに響きます。


「この魔力って!!」


13は驚きます。


「そう我が名はアース・ヘルガー。

 地獄の犬だ。さぁ女よ。

 服を脱ぎ我にその身を捧げよ」


そう言って犬が現れます。


「アース・ヘルガーか。

 聞いたことがあるぞ。

 確か種族を問わず雌と交配をすることで強さを得れるという能力者だな」


「如何にも。

 我は既に1000を超える雌と性交をした。

 故に我が力はモトフミさまに認められ幹部にまで成り上がった!

 我が妻になることを喜ぶがいい!」


アース・ヘルガーの身体から狂喜が満ち溢れます。


「そうか……なら私も名乗ろうか。

 ファルシオン所属科学部隊長!詩空しそら清空きよら

 子どもが大好きなお姉さんだ!」


「ほう、それはそれは……主のような気の強い女は嫌いではない。

 だが命乞いと共に股を広げる姿が我には――」


パン!


13はアース・ヘルガー眉間に銃弾を打ち込みました。


「え?」


清空が驚きます。


「いや、なんか油断してるなって思って」


13は小さく笑いました。




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