創作に役立つ資料? 自然科学(地学編)
創作として作られる物語には当然ですが、世界観があります。そこはどういう世界で、どういう問題を抱えているのか? 物語の根幹ともいえる部分です。最近のエンタメ小説(特にライトノベル)は、その世界観よりも登場人物(キャラクター)に重点を置いている作品が多い印象ですが、それらの登場人物達も、一定の世界(現実世界、異世界などを問わず)、一定の舞台に動いているため、世界観の影響をもろに受けています。法律の概念が無い世界では、登場人物達は法律の存在を知らず、また、魔法の概念が無い世界では、その魔法を使うことすらできません。現実世界の物理現象に則っている世界では、そこから逸した現象を描くこと自体が困難、仮に書く場合は、もっともらしい設定が必要になります。「世界観」というのは、それくらい重要なポイントです。
その世界観を作る上で、以外と役立つのが学校などで習う一般知識。その中でも、自然科学の汎用性はかなり高いと思います。自然科学には数学、物理、化学、生物、地学などがありますが、その基礎とされる数学はもちろん、それ以外の分野も、充分に使える。今回のエッセイで書く地学も、その使える知識の一つです。地学は生物(植物、動物、微生物など)を除く、自然環境を研究する分野。その諸々に関わる性質や、相互関係などをひもとく分野です。地学には宇宙をはじめ、地球の構造や気象、地形や鉱石などの様々な分野がありますが、それらは人間(あるいは、それに類するもの)が生きている世界を描くときに(余程の特殊な設定がない限り)かなり役立ちます。現実世界の「それ」とまったく同じにしなくても、その根本原理や関連性などが似ていれば、作品自体に科学的
例えば、寒冷地と温暖地の平均気温や、そこの天候変化や地形特性などが分かっていれば、次の文でそれを描写するときも、より具体的に描くことができます。地球は約23.4度傾いた状態で太陽の周りを公転し、また約24時間かけて自転もしているので、その空に「昼」と「夜」があります。また海にも、月との引力関係から潮の満ち引きがあります。地形に「山」があるということは、その世界に地殻があり、その地殻を動かすマントルがあるということ。異世界に飛ばされた主人公が、中世っぽい町から出て、その周りに広がっている風景を見渡したとき、それらの地形が目に入ったら、その世界にもまた、地球と似た自然環境が広がっていることになります。
その環境について現地人がどんな名称を使っていようと、道の上に石が落ちていたら、その石に何らかの色がついていたら、「鉱物」としての化学的な性質を有していることになる。それが酸性であれ、あるいは、塩基性であれ、科学上の分類が可能になる筈です。飛ばされた異世界の空に天候があれば、そこには大気の流れがあり、流れの原因である高気圧と低気圧がある筈。高気圧と低気圧があるなら、それを研究する学問、気象学に近いものがある筈です。気象学は気象の性質を知る意味でも、また、そこから得られる恩恵などを調べる意味でも、科学技術があまり発展していない世界では、絶対に必要な学問である筈。気象現象は、農作物の生育に大きく関わっていますからね。何も食べなくても生きていける種族なら別ですが、現代人と基本性質がほとんど同じ異世界人だった場合は、食料の生産は第一に考えなければならないことです。が……まあ、そこはフィクションの世界。
そこまで追求するかどうかは、書き手の自由意志だと思います。
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