第4話 許嫁惨状……参上!

 3歳の時親父に鑑定された。

 発端は簡単なことである。

 母を始め女性陣がたくさん搾乳に参加していたからだ。


 父曰く、羨ましいと。

 なぜおまえばかり乳くりあってるんだと。

 生きるために栄養補給してるだけなんだけど、それを乳幼児が素直に答えるわけにはいかず。

 笑顔で返したらそれが挑戦状に見えたみたいで……


 何かエロスキル持ってるんだろ、見せてみろとなったわけだ。


 「お前……エロの申し子だったのか。」

 父にそう言われたが、否定はしていない。

 果たして鑑定でどこまでバレたのかはわからない。

 少なくとも大方のスキルはバレたとみて間違いない。


 だからといって何かがかわるわけでもない。


 相変わらず搾乳によるスキル吸収とスキルレベルアップ作業は続いている。

 あ、作業って言っちゃった。


 搾乳によってスキルと経験を得る、女性陣は濡れる程気持ち良くなる。

 どちらも特しかないので父以外は誰も文句を言わなかった。


 それと、もう一つ。

 魔族には貧乳しかいないのだろうか。

 子供を生んだばかりの母親達ですらちょっとした膨らみしかない。


 3歳だから簡単な言葉は喋る事が出来るが、そこについて聞くわけにはいかない。


 それと許嫁が出来た。

 四天王の一人と宰相の娘の間に出来た子らしい。

 まだ会ってはいないが可愛いという。

 魔族の美醜感覚はわからないが近々直接会って正式に決めるらしい。


 魔族は人間とはところどころ違うようだ。

 寿命や身体能力は言わずもがなであるが。

 3歳で既にダンジョンに潜って魔物狩りをしている家庭もあるそうだ。


 王族はともかく、一般魔族達は将来のため早めに力を付ける必要があるとの事。

 特に最近は人間の侵攻が激しいという。

 そういえば生まれたばかりの頃親父が言ってたっけと思い出した。


 魔族はエルフとは違い繁殖に対する意欲は高い。

 それなのに人間を滅ぼさずにいるのは単に面倒だからである。


 人間がちょっかいを出さなければ相まみえる事はほとんどないはずなのである。


 父曰く、人間は欲張りで傲慢だと。

 現状でも土地も資材も人材も充分だというのに、新たな領地確保といつ牙を向けるかわからないからと魔族を殲滅しようとしている。

 酷い時は異界から勇者を召喚する事もあるらしい。

 

 異界の勇者は基本騙されやすい。

 魔族が人間を脅かしているといえばろくに調べもせずに絶対悪と決めつけ滅ぼそうとする。

 一体どっちが悪だって話だ。


 ここで自称神の言っていた事を今更ながらに思い返してみる。

 魔族にとっての善行とは……


 潜入する人間の排除。

 勇者の殲滅。

 魔族の繁栄。


 抽象的な感じもするがこんな感じだろうか。

 あぁ、忘れたらいけない。


 魔族のめんどくさがりの性格をどうにかする。

 正直これが一番大変な気がしている。


 別に他種族を滅ぼすのが善行とは思えない。

 降りかかる火の粉は払うべきだけど。

 その結果で滅ぶ種族は運が悪い、そもそも喧嘩売ったのはそっちだろ?というわけだけど。


 

 「おーい、ルイン、お前の許嫁が来たぞー。」


 って今日って話じゃなかったろ。

 近々とは言ってたけれど。

 アバウトだなぁもう。



 

 応接室に行くと同じ年くらいのとその両親らしき男女が座って待っていた。

 もっとも片方は四天王なんだけどな。


 「こっちの父親が四天王、ヤマダだ。」

 何その日本人ぽい名前はーーー


 「あら魔王様ったら、性がヤマダなのですから私もヤマダですよ。」

 しかも普通に性だったーーーー

 ヤマダさんの奥さん、一応宰相とやらの娘さん。

 見た目は20歳くらい。

 鑑定……と。


 あ、これだめだ。

 HPとかの表記が、鬼とか悪魔とかになってる。

 割愛よりは低いんだろうけど、デラ強ぇ。

 これ人間攻めてきても大丈夫だろ。

 それとも人間のステータスもこんなに高いのか?


 あ、年齢……150歳だって。

 人間換算はやめよう。


 「改めて紹介する、四天王のタロウ・ヤマダだ。」

 下の名前も日本人ーーーー

 

 「そして隣の美人が……」


 「うおっほんっ。」

 今の咳の出どころはうちの母である。これ絶対美人という言葉に反応した。

 

 「シャーロット・ヤマダだ。」

 なぜここだけ横文字の名前にーーーー

 確かに見た目は西洋っぽいけども。

 というかタロウ氏も西洋っぽいけど?


 「そしてこちらの娘がお前の許嫁となる……リサ・ヤマダだ。」

 あれ?これはどっち?日本人ぽい?西洋っぽい?両方?



 「おはちゅにおめにかかりましゅ。リサともうしましゅ。」

 


 そして魔王側も挨拶を済ませ、後は当人同士という事で子供同士遊ぶ事になった。


 「じゃぁ、中庭でも行く?」

 子供ながらに綺麗なカーテシーを決めて

 「はい、あ・な・た」


 もう正妻面をしてる許嫁3歳であった。

 末恐ろしい子。あ、ちなみに可愛い。

 

 

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る