第3話 俺たちの過去

「先生!?」

自分たちよりも知識、経験がない人、認めない相手には肩書と揶揄する彼らの口から先生という言葉。


4人の前に表れたのは、彼らの小学校の恩師 東間屋 あずまや先生

70歳 女性


「えっ!?先生どおしたの?」「海外で支援活動してるって聞いてたけど帰国したの?」先生の質問を無視して各々質問を続ける4人


「それだけべらべら話してるなら、元気だね~」と笑う先生


その笑顔につられて、笑う4人


同じ席に座り、久しぶりの再会に喜ぶ一同。

その空間は家族のだんらんのような温かさに包まれていた。


彼女は、彼らを指導し卒業させた後、教師を辞め、自身で支援団体を設立し、世界の難民の子供たち、大人に支援活動を行っていた。


彼女が戻ってきたのは、実家の母の命日で墓参りに来たとのことだった。


「先生、変わらないね!若いよ!」と美月が言う

「うまいね。美月ちゃんは昔からべっぴんだったけど磨きがかかってるね」としわを寄せて笑う先生の言葉に、普段は見せないような照れた表情をする美月。


それを羨むように、乃愛は「私は?!先生どおなった?」と餌を欲しがる子犬の様に寄っていく。


「色っぽくなったね。活躍見てるよ!いくらきれいだからと言ってもあんなに肌を出して体は大事にしなさいね」

乃愛は、メディアの出演も多く、体も人一倍努力して管理している。

先生に褒められ、スタイルを見せつけるような動きを3人に披露する。


二人の行動にあきれる、歩と木場。そんな男二人にも優しく笑う先生につられて笑う4人


「みんな立派になったね。」と先生が切り出す。


「先生のおかげだよ」と歩の言葉に、3人が首を縦に振る。


4人にはそれぞれ、つらい過去があった

お互いにその過去を知って仲間になったのが彼らが小学校6年生の時


荒れに荒れていた彼らの本質に気づき、一から生きていくために必要なこと、学校とは何を学ぶべきものかを教えてくれたんのが彼女だった。


「今まで受けてきた授業っていうのは、社会に出ても使わないから、卒業までわかってるフリをしときなさい。」

キョトンとした顔をする幼い4人に笑顔でそお言う先生。


そこから4人になにをしていったら、才能が目覚めるのか個人個人に指導していってくれた。

自分の経験から基づいて、伝えてくれて自分にないものは、知り合いのプロに頼んでそれぞれの進むべき道の”選択”を教えてくれた。


先生の教育に、”否定””無意味”は一切なく、一人一人に”価値”があり生み出す力があることを教えてくれた。


”見えないものを見ること”

”善を大切にすること”

”一人一人の色で人に彩を与えること”

”自分を信じ、世間の常識を疑う事”


「最初は意味わからなかったけど、他の人とは違ってこの人からは学びたい。教えてほしいってホントに子供ながらに感じたのは俺だけ?」と木場が不安そうに言うと


3人は同じ意見というように首を振る。


「覚えてくれていたんだね。」そっとハンカチを取り出し、目を

拭う先生。


「先生の最後の生徒が俺らで誇りだよ」


「展開が最終回じゃね!?作者の神経疑うわ!」と小声で木場に伝える歩

「いやいや、普通言わねえからそんなこと」軽くあしらう木場


「会えてよかった、楽しかったよありがとう。またね」と先生が目を赤くしながらクシャとしたかわいい笑顔で席を外した。


4人は満足そうに、顔を合わせはにかむ。


「そろそろ行こっか」乃愛が自身のトレイを上げたとき、手紙と共に4人分のいつも必要な金額の少し多めが下敷きになっていた。


びっくりすることを予知していたであろう文章に、してやられたと笑う4人


「あの人ぐらいだよ。俺らの先生は」


昼過ぎに、学校に向かう4人


その時、同じ学校の女生徒が、チンピラに絡まれていた。


「おい!?見苦しいぞ。いい年こいて!」と歩が啖呵をきる。


「あんた!?」驚く乃愛


「最終回じゃなかったな!?」と半笑いで歩が木場にささやく


「だから言うなって」


驚く乃愛は何を見たのか?そのチンピラは誰なのか?

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エリートヤンキー”てめぇらとはちげぇんだよ!” AUGA(オーガ) @AUGA

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