第7話 - 聖騎士

私は、オルレンヌ皇国の第四王女として生を受けた


幼少から気が強く、活発で男の子たちとよく遊んでいた

教皇を継承する権利は一番上の兄に決定しているようなもので、他の兄弟たちは修道女や聖騎士として訓練をしていた


私は修道女という柄ではなかったので15歳で成人した後はすぐに聖騎士団に入団した


厳しい訓練を重ね、魔法を扱い、重い盾を構え、剣を振る

およそ女性らしくはないほど筋肉もつき、結婚など遠ざかる一方だった


それでも仲のいい騎士団員はいるものでいつしか恋仲となり、いつかは一緒に暮らすのだろうかという夢をみた


私が所属している騎士団は王都にあり、平和そのものでオークやゴブリンたちのスウォームなどはほとんど来なかった


20歳になる頃、大規模なオークスウォームが王都を襲撃する

聖騎士団は常駐しているものが狩りだされ、その数は300にも及んだ

オーク達は500にも及ぶ大きな集団で領民街もいくつか壊滅させて王都まで来たそうだ

私が産まれてから一度もなかったオークスウォームを初めて目の当たりにする


外壁の上から初めて見るオーク達に吐き気を催したものだ

豚の頭にまるまると太った巨体が正門前にひしめいている

汚く、不潔で悲鳴とも怒号とも取れる不快な声をあげ門を叩いているのだ


あんなおぞましい者たちがこの神聖な王都の中に入ってくるところを想像すると涙を流すほど恐ろしくなった

ここで絶対に食い止める


王都では外壁の上から弩や弓、神聖魔法でオーク達を攻撃する

100匹ほど殺したころに門が破壊され、オークバーサーカーを筆頭にオーク達が街へなだれ込んでくる


門の内側には聖騎士たちが大きな盾を構え、食い止めていた

盾が壊れる度に交代し、前線を維持している

先頭を駆けてきたオークバーサーカーも仕留め、オーク達の数が残り100になる頃、二匹のオークバーサーカーが前線の騎士達を蹴散らし始めた


弩を持つ騎士たちを城壁へ残して全ての聖騎士が門前に集まり、バーサーカーたちを抑えるために戦った


私が前線に回る順番が来る、傷ついた聖騎士を後ろに下げ、後ろの聖騎士たちに押されるように前に出る


大人をはるかに超える大きさのオークバーサーカー、他のまるまるとしたオークとは違い、美しいほどの筋肉で、巨大で、両手に大きな剣と斧を持っていた


傷だらけの体でも闘志が衰える事もなく、怒号を上げて斬りかかってくる

前線の聖騎士たちが一人、二人と盾の上から剣撃を浴びて吹き飛んでいく

三人目の私のところでようやく剣撃は止まった


左腕がしびれる感覚がある、二人も吹き飛ばしておいてなおこの威力には戦慄するものがある、さらにオークバーサーカーは左腕の斧を振りかざす


私は恐ろしくなって目を閉じ、剣を前に押し出した

歓声が上がり、目を開くとオークバーサーカーの首を私の剣が貫いている

死んだオークバーサーカーが力なく私の上へ覆いかぶさってきた

オークバーサーカーの血が剣をつたって私の手を温めた


私は恐怖にすくみ、腰が砕け、座り込んでしまった

オークバーサーカーが倒れたことで味方の士気があがり、あとは掃討戦をするようにオークスウォームは壊滅した


オークの幹部を倒した功績で私は表彰され、聖騎士隊長として教皇に正式に叙勲された

壊滅した領民街を取り戻すべく、解放軍が編成され、私は100人の部下を従える左翼部隊長として任命される


解放軍の規模は300となり、三分の一を預かる大隊長として任地に向かった

領民街にはオーク達が溢れ、およそ300ほどのオーク達が我が物顔で歩いている


街の西門、東門、北門から同時に攻める作戦が開始され、私は東門を受け持った

戦闘は熾烈を極め、バーサーカーとシャーマンが猛威を振るっている


聖騎士団が半数に減り、オーク達も残り100となったころ

私はバーサーカーに不意打ちをもらい、気絶した


次に目を覚ましたところは地下牢だった

手足を鎖で繋がれ、鎧は全て引きちぎられていた


シャーマンとバーサーカーが牢へ入ってくる

シャーマンは左目が潰れ、鼻に大きな傷がある


「《この女の部隊には散々仲間たちが殺されたな》」

「《この女もそれなりに強かった、強い子を産むだろう》」

「《まずは逃げられないよう、呪印を刻んでやる。俺の後はお前が犯せ》」


シャーマンが焼き印を火にかけて首に押し当てた

悲鳴が地下牢へ響き渡る、その後シャーマンは恨みを晴らすかのように私の左目を潰し、口を裂いた。死なないよう入念に治療をし

オーク達は無気力になった私を代わる代わる犯していった

私の純潔はオーク達に奪われた


30日が過ぎる頃、3回目の出産をする。私から産まれたオークは12匹になった

オークの子種に受精は必要ない、女はただ子宮を使われるだけだ

死なないようさるぐつわを噛まされ、得体のしれない肉団子と水を無理やり流し込まれ生かされ続けた

オーク達は産まれるとすぐに乳を飲む、乳を刺激されるのは心地よかったがそれがオーク達によるものだと思うと激しい怒りに包まれた


子を産むとすぐに犯される、数日たって死ぬまでここで嬲られるのかと絶望しているとき、バタバタとオーク達が騒ぎ出し、子供たちを連れて逃げるように去って行った

数時間後、聖騎士が現れ私を救い出した


恋仲にあった男だった

身重な私を優しく包み込み、手厚く介抱し、助けてくれた

王都へ戻り、オークの子たちを4匹出産した

子供たちはすぐに隠され、その後姿を見る事はなかった

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