第6話 - 砦攻略戦

時間をかければかけるほどオーク達は増えていく

7日間の準備期間中にもオーク達を遺跡から誘い出して少しずつ戦力を削る事になった


準備とは主に罠の準備だ

馬防柵を20ほど用意し、外に並べておく

他にも強い眠気を誘う煙玉、目つぶしの煙玉、燃える煙玉など狭い空間で効果を発揮する道具の準備をする


1日目

馬防柵を一日中作っては配置した


2日目

煙玉に使う素材を収集


3日目

砦入り口にいるオーク達を誘い出して馬防柵で仕留めていく


4日目

馬防柵を整備、補充しながら砦のオークたちを更に誘い出して仕留める

オーク達の増援が来た、おそらく他に抜け道がある


5日目

砦の中を少し探索する、通路や逃げ道の確保、マッピングを行う

砦の抜け道を調査、3つほど見つけた


6日目

抜け道を土砂で埋める


7日目

これまでは昼に行動していたが今回は夜、殲滅戦を開始する


昨日までに20はオークを仕留めただろうか、もう入り口に歩哨すら立っていない


「今日で終わらせるわよ。準備はいい?」

「もちろんだ。終わらせよう」

「残りは多く見積もっても30くらい、まずは通路に誘い出して数を減らす」

「わかった」


フルーフと簡単な打ち合わせをした後、遺跡に入っていく


増援は予想外だったが二人で何とかなる範囲の数に収まっただろう

フルーフの呪印を解除する手がかりがもうすぐそこにある

拾ってくれた時の事を思い出すと感慨深い

ここで呪印を解除する方法がわかれば、あとどれくらい一緒にいられるだろうか?

彼女は復讐を果たしたらどこへ向かうのだろうか?

一緒に…暮らすという選択肢はあるんだろうか…

フルーフの顔を覗き込んで見てもいつも通りの表情だった

まずはここを生き残って終わらせよう


遺跡はオークが一匹やっと通れるくらいの通路が迷路のようになっている

ところどころ小さな小部屋があり、そこでオーク達はバラバラに生活している


探索済みのエリアを全て見て回り、未探索のエリアへ向かう

ゴソゴソと音がする


フルーフを顔を見合わせ、相槌を打つ

用心しながら通路を進んでいると扉のある小部屋らしき場所から音がする


扉の左右に二人並んで突入する

中はむせ返るような血の匂いと鎖につながれた女が二人

オークの子供たちが20匹ほどいる


「うっ…」


エーサーは不快な匂いと体の欠けた女たちに吐き気を催す

オークの子供たちは何が起きたのかわからず、エーサーとフルーフを見上げるばかりだった


「エーサー!前を見ろ!殺せ!」


フルーフは体の大きいオークの子から順にすさまじい勢いで殺し始めた

エーサーも吐しゃ物をまき散らしながら手を動かす


全ての子供たちを殺し終えた頃、繋がれた女たちの状態を確認するフルーフ

既にこと切れており、腕や足が一部欠損している。食料として食われているんだろう


フルーフは二人に祈りを捧げ、俺たちは部屋を出た


「エーサー、大丈夫か?」


フルーフが俺を気遣い、通路へ入って少し休んだ


「はぁ…だい…じょうぶだ」


強がる俺を見てフルーフは小さなため息をついた


「水を飲んで全て吐き出せ、ほら」


水を渡され、大量に飲み込むと通路の片隅で全て吐いた

しばらく休んで回復してきた、思い出すたびに不快な気分になるが吐き気を催すほどではなくなった、オークの死骸はいくつも見てきたのに…人の死体となるとどうしても何も感じずにいる事はできなかった


ザリッ カッ コッ


足音だ!

おそらく部屋の様子を見に来たか、女たちを食いにきたか

緊張感が一気に増し、息を殺した


オークの足音が二つ


俺たちはゆっくりと下がり、オーク達が通り過ぎるのを待つ

2体のオークが小部屋へ向かって歩いていくのを確認すると後ろから二人で一匹ずつ仕留めた

その後は小さな小部屋を見つけては眠気を誘う煙玉を放り込み、20体ほどオーク達を殺して回った


◆ ◆ ◆


遺跡の奥へ進んでいくと大きな広間に出る

広間の中央にオークが約10体ほど寝ている


ゆっくりと忍び寄り、1体ずつ片付けていく

全て片付け終わったころ、フルーフと二人で広場を探索していると奥に続く通路を見つけた


通路の奥から音が聞こえてくる


まだ奥に部屋とオークがいるのか?

ここまでにバーサーカーとシャーマンを見ていない、おそらく何匹か幹部クラスがいるだろう、やっと起きてきたか

もう手下どもは全て片付けた、あとはお前たちで最後だ


広場の中央で待っているとオークシャーマンとバーサーカーが出てきた

シャーマンは鼻と左目に傷がある


「《グァラル、大きなネズミが二匹も迷い込んだな。少しは知恵が回るようだ》」


シャーマンの顔を見たフルーフがすさまじい形相で睨みつける


「《やっと見つけた、お前につけられた奴隷呪印の解除方法を言え、死なない程度にいたぶってやる》」

「《貴様は…誰だ?子袋ごときの事などいちいち覚えているはずもないだろう。我々の言葉が解るなら共に来る気はあるか?ここまで来れたなら強い子を産ませられる、大事に扱ってやるぞ》

「《豚が!すぐに思い出させてやる!》」


フルーフは激昂し、走り出す


まずい、一人で上位種二匹を相手にできるわけがない

バーサーカーは俺が引き受ける


フルーフに続いて俺もバーサーカーへ走りだした

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