◆10 真相と本心
貨物船クルタナ号の中央フロア。テーブルやソファーがあるこの広間に俺たちは連れてこられた。船員ら四人と一緒のソファーに俺は座らされる。けれどクロエは対面するイスで、不安げに俺を見つめていた。
……俺はまだ
人型のロボット、ドロイドはさまざまな姿、役割をもって
――『クロエ』、彼女はごみ惑星に捨てられた一体のドロイドなのだろう。
……疑問に思ったいろいろなことが
ダグラスが広間の沈黙を破った。
「ドロイド。お前の型番を調べた」
「……私はこの
「まだそんな狂ったことをしゃべるのか」
クロエは抗議の目を向ける。自らの
「お前は、五三年前の旧ディブロ社製。SE―三〇七B『ガイノイド・ドール』だ」
ダグラスが情報端末の画面をクロエに向けた。そこには彼女にうりふたつのドロイドの画像が映し出されている。
画像をみて俺は、
端末がヨゼフの手にわたる。読みあげた。
「ええと。『あなたを愛するキュートな美女。
「ふうん、ボロにしてはなかなか良い品じゃねえか」
「ヨゼフっ!」
とめようとした俺をそばのルッツが押し込む。ヨゼフはクロエから手をはなすと、俺を見た。
「どうしたユーリ? こいつにはもう
「ちがうっ!!」
言われたことに身体が熱くなる。
――はず、なのに。
「
「ガキはもう部屋にもどれ。明日までくるな」
「ですね船長。説明書には『複数人にも
「なに、をあんたら……!!」
反抗したすぐダグラスが殴りつけてきた。床に伏す俺をクロエは
俺はふらふらと立ちあがって、
……彼女に、背をむけた。
「ユーリ……!」
彼女の訴える声を浴びながら俺は、広間のドアを閉めていた。
寝室は広間のとなりにある。もとは共同の多段ベッドだが、むかしから俺ひとりが使う暗くて狭い部屋だ。ベッドに埋もれた俺はあれからずっと耳を
あの買女の光景が、脳裏によみがえって離れない。振りほどこうと考えても逆に
どうして、どうしてだ……。
いや。理由はもう――
ふいに、
耳から手を離す。身体を起こすと開いたドアから光がさしていて、人影がある。
クロエだった。
「……はいるね。ユーリ」
彼女はそのまま部屋に入った。ドアが閉まって部屋はふたたび暗くなる。
「ここで寝ることになったの。下のベッド、良いかな。ねえユーリ」
「……るさい」
「えっ」
「……うるさいっ! 俺に話しかけるな。この、
「……ユーリ」
俺は、叫んでいた。
「あいつらと
横になった俺の身体は、クロエにそっぽを向く。
彼女が下のベッドに入る気配がし、それから、すすり泣く声が耳に
……ほんとうはそんなこと、俺は思っていないのに。でた言葉はあまりにひどかった。言葉だけじゃない。自分の本心がいまよくわかる。
ヨゼフが言ったことは
いつの間にかクロエを『自分のもの』にしたいと考えるようになって、あいつらに
――船員のあいつらが、羨ましいと。
クロエを嫌いなんかじゃない。俺が俺自身を、
シーツに
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