第2話 思い出

「ごめんね」横に座るリンカが言う。


彼女は、ため息に対し、自分のことの様に誤ってくれた。

客観的にプロとして、楽しませてあげれていないことへの謝罪なのか、おじさんの態度に対し、代弁して言ってくれたのか?


意味深な言葉だった。


リンカは、夜の店の人とは思えないほどの童顔で、幼い顔に似合わず魅力的なスタイルをしていた。


そんな彼女に好意を抱いてしまったカナタ。


彼女へ質問を投げかけては、お互いの立場を忘れ楽しんだ。


カナタは23歳、リンカは21歳と年齢も近かった。

聞く話によると、リンカは母子家庭であり、男性は浮気をする者だと言う概念が寝ずいてしまっているそうだ。


それも昔交際していた、彼に浮気をされ現場も見てしまったという話だ。


カナタはリンカの話を、静かに相槌をうちながら聞く。


その目には、薄く光る涙が頬を伝う前に、ハンカチを差し出したカナタ。


その行動に、笑みを浮かべ上目遣いでのぞくリンカ。


あまりの美しさに、そっと顔を近づける。向こうも逃げるそぶりを見せない。

我に返ったカナタが、目を背け誤った。


卑怯なことに彼女は、耳元で「何しようとしたの?」と詰め寄る。

飛びそうな理性を抑えながら必死に冷静を装うカナタ。


その時、彼が感じた時間は、遅く色づいたように感じていた。


その幸せな時間も終わりを告げようとしている。


そっと見つめる二人、彼女が自分の携帯を取り出し、連絡先を教えてほしいと伝える。


その日が終わり、次の日に変わった時、カナタの携帯に一目惚れした女性の連絡先が加わった。


交換後すぐに、リンカから「楽しい時間をありがとう」また来てほしいと願う一通


お酒には強いカナタ。

冷静に、気持ちを抑えあの子のしていることは”偽りの愛”を売っているのだと自分自身に言い聞かせた。


舞い上がってはいけない。惑わされてはいけない


そおすることにも理由があった。カナタは隠していたのだ


自分に彼女がいることを。

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