口移しのケムリ

AUGA(オーガ)

第1話 出会い

君は卑怯だ。何もかも、僕の心を動かしてはただ無邪気に笑ってる。

ほんと卑怯だ。


君のつけていた、香水の匂いが出会った時を思い出させる、あのネオン街で起きた不思議な出会いから


3年前


交通量の多い、週末のネオン街

派手なドレスに身を包む女性たちに、ストレスを抱え禁断の愛を期待している中年の男性たち

そんな魅惑と誘惑の街を僕は歩いていた。


彼の名前はカナタ。フリーランスで働いているクリエイターだ。

月収は平均40万となんとも言えない冴えない彼は、新しい素材はないかとカメラを片手に歩く。


魅惑の女性がいると、彼に声をかけるキャッチ

彼は昔から断れない性格だった。しぶしぶ話だけを聞くはめに


聞き終わり帰ろうとしたところに、なじみの客なのか?

キャッチに気さくに話しかける中年男性

僕を見るなり強引に肩を組み飲みに誘う。


「勘弁してくれ!」

心の中でそお思っていた。

その男性は、めんどくさい昭和の言い回しを使い強引に店に連れ込む。


この出来事が、のちに僕にとっての分岐点となるとは思いも知らなかった。


入った店の名前は ”sapphire”サファイア 


ゴージャスな店内、自然を模した木々が生い茂る内装

彼のクリエイターとしての感性に、刺激を与えるものだった。


こんなの見たことがない!これは使える!とはじめてこの時そのおじさんに感謝の気持ちが湧いた。


しかし、店内に気を取られている場合じゃなくなる。

横にいきなり女性が座る。男性は慣れているかの様に女性に肩を回し、自分の武勇伝を語りだす。


見るからにうっとうしそうなのも気に留めずべらべらと

そんな僕にも、女性が着く

向こうとは正反対、自分の肩を丸めできる限り接触しないように努め、手持ちのハンカチを女性の膝に乗せ、露出した肌を見ないようにしていた。


それを見る彼は、あざ笑う

その時さっきまでの感謝は消え、募る思いを押し殺していた。

このおじさんの名前もしらない。唯一知ったのは、べらべら話してる中で聞こえた地元の銀行員だという事だけ。


ため息が出た


そのため息を、心配して誤ってくれたのが2番目に隣についてくれた女性”リンカ”だった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る