5・睦言と

不意に蘇る

彼女の声が

鼓膜を震わせ頭蓋に響く


愛してる

愛してる

愛してる

愛してる

愛してる

愛してる

愛してる

愛してる

愛してる


そんな、

根も葉もないことを

堂々と

明々と

言い放つ

むすめ


彼女は

傲慢だった

傲慢で 傲岸で 欲深で 癇性で 我が儘で


己の心に正直だった


愛してる

愛してる

愛してる

...


彼女の声がこだまする

こんなにも

こんなにも

唐突に蘇って

忘れられない声がする


その黒い大きな目

くっきりと濃い睫毛

よく動く、赤い唇


真っ直ぐな

真っ正直な

眼差しと言葉をぶつけてくる

少女という

熱情


僕なる現象は

その愛とやらの美しさを願い

脅迫的な

見返りを強請る

押しつけがましい

睦言に


ひざまず

うずくま

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