6・花向けする
あぜ道に咲いた花
拾い集めて
すみれ色 きいろ 白 うす青
緑のつぶつぶも取り混ぜて
足取りは風まかせ
らたた
耳たぶをくすぐる地鳴き
とぅるりら
せせらいだ小川には
笹舟
大海原は遥か
往きたくもなかろうに
かき混ぜてみようか
白い指、細い手首を冷やして
あつめた花を散らして
さらさら
ずっと
あてどない
旅路
くすりゆびの約束
『ごめんなさい』
せせらぎに投げはしない
花束は運ばなきゃ
両の手で
こぼれんばかりに抱えて
るりら
足取りは軽く
ぱらら
毀れた欠けら
紫陽花も足そうか
花びらだけ引き千切り
椿のべに色も好いでしょう
もぎ取って首ごと
つつじとあやめも加えましょう
ユキヤナギも素敵
たっぷりの花に包み込んであげましょう
たくさんの香りで囲ってあげる
届けよう
雨粒も祝福をくれる
青色のお空に蜜色の陽が射して
もくもくと真っ白な雲間から
天国への道が見える
大きな目が閉じている
まだ何も見なかった
羽根の生えないからだ
まだ何にもけがれていない
さあ、花が届きました
御弔いを始めましょう
無垢のまま潰えた
天気雨に混じって
手向けの歌をさえずりましょう
わたしに愛を授けましょう
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