2・意志する
どうでもいいわ
彼女は言った。
あなたのことなどどうでもいいの
居ようが居まいが知りやしないわ
彼女は大きくのたまわった。
それはそうだろう。
彼女にとって、居ても居なくても関係のない、
どうだっていいことだ。
死んで頂戴
彼女は言った。
どうでもいいことだから
死んで消えて無くなって頂戴
笑いもせず、
蔑みもせず、
彼女は当たり前にのたまわった。
*
重要なのは、愛せることなんかじゃない。
大切なのは、心地いい関係なんかじゃない。
必要なのは、飢えなのよ。
渇かなくっちゃ意味ないわ。
苦しくなくちゃ、綺麗じゃないでしょ。
痛くなけりゃ、感じないわ。
なくていいものは、要らないものよ。
笑い合って?
抱きしめ合って?
寄り添い合って?
慰め合って?
それのどこが美しいの。
眩いものがキレイなの?
透き通った玻璃なんて、ガランドウのガラクタでしょう?
歪になって、
骨を砕いて、
肉を引き裂いて、
血を噴き出して、
肺を黒くして、
指先を冷やして、
歯を震わせて、
喉を締めつけて、
爪を尖らせ、
咆哮あげて、
届いて、届かない、貫いて、突き刺さる、
行きどまりの、果てしもない、
天上へと、
墜落する、
その渇望こそ綺麗でしょ?
だからつまり、殺し合いましょう。
*
気泡を閉じ込んだビー玉が
号哭に震えて粉砕する
内側からひび割れて
粉々に
砕け散る
醜くなくちゃ駄目なのよ
少女は云った
黒い瞳を、青らむほどに研ぎ澄ませ
惨めでなくちゃ駄目なのよ
少女は云った
真珠に輝く歯並びの、奥から舌をちらつかせ
透き通ったビー玉が
自由落下に底を打つ
カツンとひとつ、音をあげて
明るい方へ転がってゆく
泣いたりなんて、しないのよ
高潔な飛翔に窓が
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