少女幻影

刎ネ魚

1・イチョウと

そのイチョウは大樹と呼ぶにふさわしく、

仰ぎ見る梢は黄金の天井と見紛うばかり。


降りしきる落葉もまたひとしおに、

地は埋め尽くされ、金の花盛り。


ひらひら、ぱらり、

ひらりひら、はらら。


敷き詰められた黄金の朽ち葉を、

少女は無心にかき集め、

えいやっとばかりに投げ散らかす。


ぱらぱら。

はりはら。

ぱらり、はら、ひらら。


舞い上がった黄金が、

蝶々にも似て降りしきる。


その、

金色の、

あどけない、

輝かしい、

朽ち葉の横切る、

真白い、丸い、無垢の頬。


きゃらきゃらと、

尽き果てぬ笑いを零す唇。

の、桃色の、

ふっくらと、

ぷっくりと、

邪気のない、

惨忍なかたち。


細い腕、

脆い脚、

小さな手、

穢れ無い器。


に、宿る、

甘い、甘い、濃い、無残の毒味。


ああ、狂える黄金の花。

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