「最近の若いもんは……」

「失敗した。昨日の『また明日』は無かったね。

 それは孤独な人間が言う事じゃない。


 だけど一旦その話は置いといて、早速だけど今回のお題を話そうか。

 僕が今回言いたいのは、年の差で何かが決まる訳じゃないって事だ。


 まぁ、結局は人柄って言っちゃえば早いんだけど、今回言いたいのは所謂最近の若い人たちについて。

 僕は”ゆとり世代”って言葉が嫌いなんだ。


 例えば僕が君の親だったとして、君の教育方針を決めるのは僕だ。そこで僕は君を散々甘やかすことを決めて勉強を教えない事にする。

 そんな君は大人になっても社会の事を何も知らなかった。そんな君に僕が放つ言葉はこれだ。


 ”ゆとり世代は本当に根性がない”


 酷いよね。『最近の若いもんは選挙にも行かん』なんて言って、散々政治に関わってきたアピールをする大人は、ゆとり世代と呼ばれる子供たちの教育に関する国の決定に昔から何回も参加してきた。

 結果的に生まれた子供たちを見て彼らが言うべきは否定の言葉かい?

 彼らが育てた様なものじゃないか。どうして彼らがゆとり世代なんて呼んで、率先して虐げる様な真似をするのか。


 僕は大人が嫌いだ。子供の頃に言われた『屁理屈はやめろ』って言葉が未だに僕の感情を逆なでする。

 大人に都合のいい常識と感情論だけの理屈とやらが、子供の話す全ての理屈を屁理屈に変えるんだ。


 子供や若い世代が何も考えられないんじゃない。何も考えないように、子供の考えを根っから否定して回った結果がこれなんだ。

 僕は僕の事が大好きだけど、こうして育ってしまった事に一切後悔がないとは言えない。


 それは家とか国が違えば~なんて現実逃避じゃないよ。僕はこんなに考えられるようになりたくなかったんだ。

 『最近の若いもんは~』なんて言われても何も感じない、理不尽な常識に強制されても『そういう物なんだ』と流される自我の無さ。


 そうして育ってきたであろう、常識を妄信する大人たちに僕もなりたかったなぁ。

 本当に羨ましい限りだよ。


 ……今回も僕らしくない暗い感じだったね。

 別に心境の変化があったとか、ショックな事があった訳ではないんだけど、人間って生きていれば成長するんだと思う。

 それを外野から情緒不安定だとか言われて矯正された自我を作り上げるんだ。


 だけど僕はそんな人間性を嫌うから、僕の成長はきっとこんなに歪なんだね。


 君には本当に感謝してるよ。こんな風に成長できたのも、きっと君のおかげだ。

 だからまた、会いに来てくれるよね?」

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