「この文章と同じ、吹き出し一つ分の話を聞いてよ」

「流行りって有害だね」

「君は今の流行りって聞いて何を想い浮かべる？

　流行り病？　タピオカ？　I字バランス？

　全部今流行ってるものだけど、どれも経験したことない人っていると思うんだよね。例えば僕とか。

　僕は幸運な事に流行り病ってモノを患ったことが無いし、タピオカだって最近の新しいタピオカは飲んだことが無い。

　昔どこかのお祭りでそれっぽい飲み物は飲んだけど、あれは酷かった。中が冷凍焼けしたみたいにボソボソしてて、食えたもんじゃなかったよ。

　んでもって、Twitterで流行ってるI字バランスなんてのは論外だ。両手を挙げて万歳したらI字になるかな？

　僕は童貞を殺すセーターも着たことが無いし、天然パーマだから癖っ毛ヘアーが流行った頃も自分からパーマを作るなんて考えもしなかった。

　クッパ姫なんて存在も相当後に知る事になったし、プレイステーション5なんて買う気も起きないね。

　つまり僕が何を言いたいかというと、流行に従うなんて自分の生き方を縛るだけで、自分という個人にメリットが無いなら乗る必要無いって事。

　でもさ、流行りってのはそういう気配に敏感なんだ。そういう人間が居たら自分の存在を邪魔する敵だと判断して、自分を信仰する人間達に攻撃をさせる。

　やれダサいだの、やれ遅れているだの……いや、別にそれが悪いという訳じゃないんだ。でも、僕たち流行に遅れている人間からすると”怖い”って話。

　これは仕方がない事だろ？　ホラー映画もお化け屋敷も苦手な人からしたら有害なだけでしかない。それでも誰もそれらを否定したりはしない。それが当然だからだ。

　……ごめんね。今日は少しだけ楽しくない話題だった。僕も人間だからたまにこういう日もあるんだ。

　失望した？

　それともこんな事で失望すると思われてた事に腹が立った？

　人間なんて孤独であればあるほど弱いのに、虚勢を張って、無理をして世界を憎んでいる。

　今日はここまでだね。今の僕はこれ以上君と関りたくない。

　前も言ったろ？　僕が孤独で居られる程度でいいって。

　今日もありがとう。また明日」