「いや、これ面白くないだろ」

「なんでまた来るかな……。


 いや、だって僕の話面白くないだろ?

 ……なんでそんなに自信がないか気になる?


 前回僕が『孤独な奴は自分語りをするな』って言ったの覚えてる?

 その理由は孤独な奴の自分語りが大抵つまらないからなんだけど、僕はなんと恐ろしい事に残念ながら件の”孤独な奴”に当てはまる人材なんだ。


 驚いた? こんだけ口が回る奴が孤独なんて流石に信じられないよな。

 でも、こんだけ口が回る奴が身内に居たら追い出すだろ? そういう事。


 それじゃあ場も温まってきたことだし、今回の議題を発表します!

 僕が今回言いたいのはさ、気温とか天気とかを言い訳にするなって事なんだよね。


 あ、別にハメハメハ大王の話じゃないよ? 王様なら勝手にすればいいじゃん。

 別に誰に迷惑かける訳でも無いし、そもそも遅刻に文句言う奴って僕きらーい。

 ……こっちの話の方が興味ありげ? もしかして君、結構遅刻するタイプ? そうじゃないなら、遅刻する人間を目の敵にしてる遅刻大嫌いマンか?


 でも、残念ながら今回の議題は最初に言った方で気温とか天気を言い訳にするな、って話なんだ。


 特に失恋の歌で雪とか雨とか降らせるのはどうかと思うよ僕。

 だってだって! これから別れる話をするってお相手もさ、結構緊張している訳じゃない?

 そんな相手も一応は一人の人間な訳で『天気が悪いから今日は話を切り出すのやめておこう……』なんて事にならないかな?


 ……そっか、ならないか。でもまぁ、これは可能性の一つだよ。

 でも文句はまだまだあるんだ。そもそもなんで雨に濡れて一人で帰ろうとするの?


 僕には分かるよ~。それ、自分に酔っちゃってるんだよね?

 振られて孤独な奴が『君のいない日常は灰色ぉ~♪』とか言っちゃう訳よ。


 うわっ、こいつ孤独だ! 気を付けろ、話しつまらないぞ!


 って、言いたくなるくらい口臭そう。

 それは関係ないか、ごめん。


 でもでも、言いたい事は変わらないよ。

 例えば『額に汗が滲む真夏の午後2時に』だったら良いんだよ。だって真夏の午後2時は暑いもん。

 そりゃ額に汗は滲むし、女子高生のシャツは透けるよ。


 だけど流石に”振られた”と”雨or雪”は無理がない?

 この二つが繋がる歌詞が多い事を考えると、この世の事象に新たな一つが刻まれることになるよ。

 『暑いと汗をかく』のと同列に『振られたら雨が降る』か『雪が降ると振られる』が扱われるんだろ?

 まぁ、僕からすると後者は願っても無い事なんだけどね。


 と、ここまで散々言ってきたけど原因は分かってるんだ。

 要は一番と二番で同じリズムをとる時とか、続けて使って韻を踏みたい時に便利なんだよ、”振る”と”降る”は。


 なんとも悲しい世の中になったね。作り手の都合で作り替えられた物がその業界の定番になってしまうなんて。

 せめて歌とか芸術だけはそうならない様にしてほしかった。


 今回はこんな感じかな。どうだい? つまらなかっただろ?

 孤独な人間のする事さ。意味も無ければ面白みも無いよ。


 それじゃあまた、もしも暇な時があったらね」

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