第100話 今カノと元カノの誘い
結衣の耳を疑うような発言を聞いて頭をフル回転させるが、俺たちが3人で遊びに行く理由が見当たらず俺の思考回路は完全に停止していた。
何故いつものメンバーではなく俺と結衣と水菜の3人で遊びに行く必要があるんだ?
これまで元カノ元カレの関係である俺と結衣が一緒のグループにいられたのは、俺たち以外のメンバーがいたからだ。
それなのに、今現在カップルという関係である俺と水菜、そして俺とは元カノという関係性の結衣が3人で遊ぶとなればお互いがその関係性を意識せずにはいられないはず。
「え、3人で遊ぶの? しかもこの3人で?」
「この3人だと何か不都合でも?」
不都合なんてないでしょ? とでも言いたげな顔をしている水菜だが、不都合しかないだろ。
この3人で遊んで不都合があることなど少し想像すれば容易に分かる話だ。それなのに水菜はどうしてそんなに真顔なんだよ。絶対やめといた方がいいだろ。
……まぁ心の中でそうは思っていてもそんな事は言えないけどな。俺だけが変に意識してるみたいになるし。
「いや、不都合は別にないし3人で遊びに行くってのは構わないんだけど……。なんで3人なんだ? いつものメンバーは誘わないのか?」
3人で遊びに行く理由はあまり聞かない方が良かったのかもしれないが、3人で遊んでいるところを想像すると気不味い空気になっている状況しか想像できない。
それは避けなければならないと、3人で遊びに行くことになった理由を尋ねてしまった。
「理由なんて特にないですよ。シンプルにこのメンバーで遊びたいって思っただけです。ねぇ? 結衣先輩」
「そ、そうだね。理由は特にないかな」
理由が無い……?
理由もないのにこんな訳も分からないメンバーで遊びに行くなんてあり得ないだろ。この誘いには絶対に何か裏がある。
とはいえその裏を聞き出すこともできない。
それならもうこの話に乗ってやるしかねぇか……。
「まぁ確かにな。たまにはいつもと違うメンバーで遊んでみるのもありかもしれん。で、3人でどこに遊びに行くんだ?」
この話に乗るとしてもまずは3人でどこに遊びに行くかというのは重要だ。
映画、カラオケ、ショッピング等色々と遊びに行く場所はあるだろうが、その場所に応じた対策をこちらも取る必要がある。
「史桜ならどこに行きたいですか?」
俺ならどこに行きたいかと質問するということは、俺の回答次第では俺が回答したところに遊びに行くってこともあり得るのか?
それなら俺はこの質問に対して、あらゆるパターンを考えた上で回答しなければならない。
やることが決まっていないならショッピングモールか? それとも定番のカラオケ? ゲームセンターってのもありだろうか。
「うーん、映画かな」
俺はあらゆる選択肢の中から映画館に映画を見に行くという選択をした。
映画館に行けば映画を見ている間は俺は何もしなくていいし、考えることが少なくて済む。
「なるほど!今回遊びに行くのは遊園地です‼︎」
いや俺の意見採用されんのかい‼︎
遊園地……。遊園地かぁ。でも遊園地って一番3人でいっちゃダメなんじゃないでしょうか……。
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