第7話 2人の休日
~セリエ・ヴィル~
今日は、ヴィルとデート!! この間食事したばかりだけど、これから忙しくなるし… それに最近ヴィルと一緒の時が少ないんだもん。
「デートが久しぶりだからちょっと気合い入れすぎちゃったかな?」
髪を弄りながら、待ち合わせ場所のカフェの窓で立ち姿を確認する。
気が緩んでたようで、いつの間にか後ろに立っていた人物に気づけなかった。急に肩を叩かれ、顔を後ろに向ける。
ムニッ!!
「ひゃぁ!!」
突然頬に何かが当たって、ビックリした。
「よっ! お待たせ」
そこには待っていたヴィルが、ニッと笑って立っていた。
「なっななな…何するのよ!! 急にビックリしたじゃん」
ヴィルの対応に私は、そっぽを向いた。
「悪かった。でも声かけて良いかわかんなくてさ」
そう言って、私の頭をぽんぽんと撫でてきた。私は少し顔が暖かくなるのを感じ、頬を膨らませた。
「まあいいや。それじゃあ入ろっか」
「だな。あっと、その前に」
私は、入ろうとしてヴィルに止められ、首を傾げた。
「その髪飾り似合ってるよ」
何気なく言葉が紡がれ、その言葉に、にやけが止まらなくて堪らなく嬉しかった。この髪飾りは、ヴィルが覚えているかわからないけど、初めて一緒に出掛けたときプレゼントしてくれた大事な宝物、家の決まりで婚約が進んで始めは嫌だった。でも会って色んな話をして、プレゼントをくれたあの笑顔を見て、一緒にいたいと思った。大好きになっていった。
「ありがとう!! さっ入ろう!」
私は、ヴィルの手を握ってカフェに入った。
しばらくして、私はケーキを食べながら会話をしていると
「なあ、勇夜とフェルムどう思う?」
唐突に友人の話になる。
「どうって?」
「……正直2人共、不思議というかなんというか…」
「確かにね。勇夜は何となく隠してる所があるのは知ってるけど、アリサは、よく分からない。勇夜と同じで話したくないことはありそうなんだけど」
「だよな……………」
ヴィルは、何かを考え始め動かなくなった。
「ヴィル? ヴィール…ねぇ、 ……む~~」
「ヴィル!」
「どう…」
「えい!!」
「むぐっ」
私は、ヴィルがこっちを向いて口が開いた瞬間にケーキを乗せたスプーンを口に突っ込んだ。
「にひひ~ さっきのおかえし!」
ヴィルは、驚いた顔をしながらケーキを味わっていた。
「私達があれこれ考えたって仕方ないよ。どんなことがあっても、私達は友達で有り続ける、そう言ったのはヴィルだよ」
「そう…だったな、そうだよな! ごめんな、考え込んで」
「ううん、それだけヴィルが友達のこと真剣に考えてるってことだもん。私は、そんなヴィルも大好きだよ!!」
屈託のない笑顔を向けられ、唐突に顔が熱くなったヴィルは、恥ずかしさから顔を伏せ、腕を被せた。
普段ヴィル自身がやっているが、やられるのはめっぽう弱い、それが好きな異性なら尚更だ。セリエが気になって覗こうとしているのを感じ、まだ熱の引かぬ顔を上げた。
「よし! 今度は、皆で遊びに出掛けよう。俺はもっとあの2人と仲良くなりたい。それで皆で剣騎祭代表に選ばれるように頑張ろう」
「うん!」
2人で新たな決意を固め、剣騎祭に向けて動き出す。
不器用で、不思議な友人のことを考えながら
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