第5話-1 強く進む為の覚悟を

"翌日"


ラルク教官の授業が始まる。


「昨日の訓練お疲れさん。昨日も言ったが、上手くいったいかないは、これからどうするかだ。まだお前達は成長途中でいくらでも実力を上げることが出来る。だが、出来ないと思い早々に諦めれば、今後お前達の成長はない。この世界で生き残るには、強くなるしかないそう思って日々励むように」

ラルクの激励を含む昨日の話が出る。


「そして、これからのお前達が進む進路や評価に直接結び付いて来る行事が始まるわけだが、1つは、お前達も目標にしているだろう剣騎祭だ。これはあと一月もすれば開催される。騎士団やギルドも見に来る行事だ。場合によってはスカウトなんてこともあるからな。」


"剣騎祭はクラスの代表10名を選抜し、学年ごとのトーナメント戦を行うことである。試合は特騎課、騎士課混合で一対一の戦闘を行い、競うものである"


「そしてもう1つ、剣騎祭の後になるが、実地任務研修というものがあってな。少し前からやるようになったから、知らないものもいるかもしれんから簡単に言うぞ」


"実地任務研修とは、ギルドと騎士団に研修という形で実際に任務を行うことである。一年目は全員ギルドの研修に、二年目は騎士団の研修、三年目はギルドか騎士団を選択し、研修する。三年目の場合騎士団にいくには、試験に合格した者しか研修することはできない。

任務は実戦任務が主となり、比較的低ランクだが魔物の討伐や護衛・警護等を受けることになる。研修は、クラスでチームを組み参加する"


「以上だ」

周囲がガヤガヤしだした。剣騎祭で代表になりたいや実地任務研修で実際にギルドで実戦が出来るから楽しみ等の話が聞こえる。


「静かに! 授業始めるからな」


"昼休憩"


「剣騎祭の後に実地研修ね。今から楽しみだな!」


「討伐任務とかするんでしょ?対魔物なんてやったことないから気にはなるわね」

食事中に、ヴィルとセリエが先程の話について話し出した。


「そうだね。あと剣騎祭は聞いてたけど、代表に選ばれなきゃ行けないんだね。なにか選ばれるきっかけとかはあるの?」


「代表として出れるかどうか、一番関わってくるのは実技の授業だな。週に3回くらいあって、訓練と違い制限無しで単体と団体戦をやるんだ」

アリサの問いにヴィルが答えた。


「そうなんだ。ありがとう」

特騎課は全員で20人、騎士課は30人の人数になっている。つまりは合計20人のトーナメント戦だ。


「そうだ!剣騎祭に合わせて訓練場も放課後自由に利用出来るようになるらしいし、明日お休みだから今日残って皆で特訓しようよ」


「俺は、構わないぜ」


「私も今日は、少し時間があるから大丈夫」

セリエの提案した居残り特訓に、ヴィルとアリサは同意して、3人で勇夜を見た。


「…わかった俺もやるよ」

この提案は、勇夜自身現時点を知るいい機会だとも思った。決して3人の勢いに飲まれた訳じゃない…勇夜はそう思いつつ席を立つ。


"放課後"


第一訓練場


「お!まだそんなにいないな」

ヴィルの言うようにまだ、利用している生徒は多くなかった。


この学園には、大きく分けて2つの訓練施設がある。1つは昨日訓練した第一訓練場、主に特騎課が使用する。2つ目は第二訓練場で、主に騎士課が使用する所で大きさは、第二の方が大きい。そして、その他にも小規模の模擬戦闘施設があるが、主に上級生の戦闘場所になっている。1〰️3年を含めるとかなりの生徒がいるので、使用時は申請しないと訓練場所が無くなってしまう。


「よし、準備運動して早速始めようぜ」

そして、準備運動が終わり、


「ヴィルは、実技で勇夜と結構組んでるもんね。だから、今日は私が勇夜とでもいいでしょ?ちゃんと戦ってみたかったし」


「俺は、それでいいよ」


「了解、じゃあ俺はフェルムとだな。どうせだし、属性強化と魔弾も有りでやるか。実技の練習も兼ねてな」

各々の組合せが決まり、第一訓練場にある模擬戦闘場に移動する。


「よし、じゃあルールは訓練と同じで結界が壊れたら、終了な」

ヴィルの説明に了承する。


"セリエ・勇夜"


「じゃあ早速行くよ。勇夜!手加減なんてしないからね」


「ハァッ!!」

セリエが剣を構え、まず身体強化で攻めてくる。

セリエの剣術は、基本に忠実で隙の少ない技を使う。手数と正確な狙いで相手を崩し、一撃を見舞う。有り体に言えばオーソドックス故の強さだ。

対して勇夜は拳闘による超近接戦、セリエの速度に全てを捌くことは出来ない、手甲で受けつつ攻撃に転じる。


「へぇー...ちゃんと戦うのは初めてだけど、やっぱり反応してくるんだね。侮ってたわけじゃないけど...なら!!」

勇夜の攻撃を捌き、その勢いで回転し背後に回って横薙ぎにセリエは剣を振るってきた。

勇夜は辛うじて防御姿勢を取ることができた。だが距離が離れてしまう。


「水弾!!」

セリエの手から属性弾が放たれる。


「...っ!」

勇夜は何とか反応し、右に転がり躱す。


「やるわね、でもこれで決めるよ!」

転んだ先にはいつの間にかセリエが迫っていて、剣には属性強化がされていた。セリエの属性は水、多種多様な使い方があるが、持っている剣の周りの魔力は勢いがあり、切れ味が上がっているように見える。体制を整える時間もなく、セリエの剣が迫る。


「しっ」

セリエの剣が壇上に当たり、切り傷を残す。


「避けた?」

剣が振られる瞬間に、勇夜は足に属性強化し魔力を暴発させ、小規模な爆発を起こし移動したのだ。

勇夜の属性は火、昔から勇夜の魔力コントロールは得意のようで、色々使い方を考えたことで編み出した結果このような使い方を編み出したようだ。だが無理に行ったことで勇夜本人にもダメージがあり、結界にも影響していた。


瞬時に攻勢に転じ、手甲に属性強化して攻撃に移った。


「行くぞ!」


「そっちが決めに来るなら、受けて立ってあげる!」

互いに攻めの姿勢を見せ、動く。


”如月流 拳闘術 攻ノ型 掌底煌破しょうていこうは


「はぁぁぁぁぁ!!」

セリエと勇夜の攻撃がぶつかる。そして勇夜の放った掌底から爆発が起き、セリエの魔力と当たり白煙が上がった。

二つの結界が壊れる尾とが聞こえる。その勝敗は...


「ふぅ、今回は私の勝ちね!」

そうやってセリエが笑顔で声を上げる。


「そう...みたいだな」


「でも、避けるときの爆発の反動がなかったら、負けてたのわたしだったかもね」


「いや、あのタイミングなら当てられて、それで終わってただろう」

勇夜の表情は何か考えているようだったが、互いに先程の戦闘に関しての感想を言い合っていた。

そうして、もう一方の試合を見ると、まだ戦闘が続いていた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る