第6話・皆でご飯2
たくさんの料理を、お店のお姉さんにお願いしたヒデ君は、何よりも一番大好きな炒飯を食べながら、とても御機嫌でお父さんに言います。
「おとうさん、ご飯美味しいね!」
「すぐ来て良かったなあ、秀貴。こんなに混んでるのに…」
美味しそうに、満足そうに炒飯を頬張るヒデ君に、お父さんはその丸っこい頭を撫でてやります。
さっき、ヒデ君がお姉さんにまだ来ないよ、と言ったラーメンをすすりながらです。
「ここはいつ来ても混んでますね。お義母さん」
「そりゃあ、この街一番の中華料理屋だからねぇ」
お父さんの言葉に、おばあちゃんが誇らしそうに言います。ヒデ君はよく知らないのですが、おばあちゃんとお母さんは、昔このお店で働いていたようなのです。
そんなおばあちゃんは大好物のショウロンポウをはふはふ言いながら食べています。
「まあ、今は調理場は修羅場だろうけど」
にやっと笑うおばあちゃんに、ヒデ君は炒飯を食べていた手を止めて聞きます。
「おばあちゃん、修羅場、ってなあに?」
「とぉっても忙しいってことだよ」
うふふ。そう笑うおばあちゃんは、本当に楽しそうです。きっと、今日はお昼ご飯なのにワインを飲んでいるからこんなに楽しそうなんだな、とヒデ君は思いました。
「お母さん、おばあちゃんゴキゲンだね」
「そうね、楽しそうね」
隣にいるお母さんにこそっと言うと、お母さんはどこか困ったような笑い方をしながら頷きます。そうして、ヒデ君に春巻きも食べなさい。と言って自分の前に置いてあった春巻きを取ってくれました。
春巻きも、炒飯と同じくらい美味しいものでした。
美味しいご飯と、楽しいおしゃべり。ヒデ君はこうやってご飯を食べるのがとっても大好きです。なので今日のヒデ君は、とっても幸せなのでした。
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