第3話 再会

そして五月がやってきた。

一人街を歩くケンジ。

手にはギターを持っている。


健治 「五月だってのに…。なんなんだよ…この暑さは…。」


健治が向かう先はスタジオ『ドルフィン』である。

この日、健治は一人でスタジオに入ろうと決意した。

そもそも地元でバンドしてた頃には部室がスタジオだったから、実質これが初めてのスタジオ入りである。

そして『ドルフィン』に入っていく。


店長 「いらっしゃい。」

健治 「あ、13時から予約してた者ですが。。。」

店長 「あぁ。はいはい。もう空いてますんでどうぞ♪」

健治 「どうも。」(アタマ下げてスタジオへ。)


そしてスタジオ内では。。。


健治 「初のスタジオか…。」(と呟きながら入って来る)


そこには何故か先客が居た…。


謎の女 「!!?」

健治 「!!!!!!!!!???」

謎の女 「オドロキ過ぎ…。」

健治 「おおおおオオォォオおおオマエ…。」

謎の女 「ア…。」(何かを思い出したように)

健治 「あん時の!(KENDYS物語壱岐編最終話参照)」

謎の女 「何でアンタがココに居るのよ。」

健治 「俺が今日一時からココを予約してんだよ!!」

謎の女 「またやったか…あのオヤジ…。」

健治 「また?」

謎の女 「よく忘れてブッキングさせるんだよ。ここら辺じゃ有名よ?」

健治 「チッ…寄りによってオマエなんかと会うとはな。」

謎の女 「アラ…『また会おう』なんて言ってたクセに。」

健治 「忘れた。」

謎の女 「それにオマエじゃなくて真理恵って名前があんの。」

健治 「あぁそうかい。俺もアンタじゃなくって健治って名前があるんだが。」

真理恵 「あぁ、ケンジって顔してるわ。」

健治 「なんでだよ…。」

真理恵 「成る程ね…。」

健治 「なにが…。」

真理恵 「ケンジだからKENDYSね。」

健治 「その名は忘れろ。」

真理恵 「ムキになっちゃって。」

健治 「なってねーよ。」

真理恵 「あ・そうだ。私、練習するためにココ入ったんだよね。だから出てくんない?」

健治 「フザけんなっ!!俺だってそうなんだよ!!!」

真理恵 「じゃぁ一緒にやろうか♪」

健治 「…オマエと話してると調子が狂う。」

真理恵 「イヤなの?どうなの?」

健治 「しょうがない。我慢してやる。」

真理恵 「その高圧的な態度。彼女も出来ないハズよ。」

健治 「居ないっつったか?」

真理恵 「居るの?」

健治 「居ないが…。」

真理恵 「当たってるじゃない…。」


その頃ヒロキは…。

気持ちよさそうに部屋で寝ていた…。


そして二時間が過ぎて…。


健治 「さて、帰るかな。」

真理恵 「あぁケンジ。」

健治 「もう呼び捨てかよ。」

真理恵 「今日は楽しかったわ。」

健治 「オマエはな。」

真理恵 「?」

健治 「俺は楽しくなんてなかったぞ。」

真理恵 「あらそう。」

健治 「隠してんな?」

真理恵 「何を?」

健治 「実力をだよ。」

真理恵 「なんで隠す必要があるのよ?私は精一杯やってるわ。」

健治 「いいか?何を想ってそうしてるか知らないがな、俺をナメんなよ?」

真理恵 「うわ…スンゴイ被害妄想。」

健治 「いつかオマエを越えてやる。」

真理恵 「私が自己紹介した意味はあるのかな?」

健治 「オマエはオマエだ。」(出て行く)

真理恵 「ありゃりゃ…少し怒らせ過ぎたかな…。」


そしてその夜…とあるファーストフード店。


博記 「へぇ~また会ったんか。」

健治 「あぁ。」

博記 「で、尻尾まいて逃げてきたんか。」

健治 「あぁ?」

博記 「そうじゃねーか。『いつか越えてやる』だと?笑わせんな。」

健治 「何がイケナイんだよ!?」

博記 「少ししか一緒に居なかったヤツの真の実力も推測せずに、アッサリ負けを認めて捨てゼリフだけは立派に吐いてくるようなヤツとはバンドやってけねーよ。」

健治 「!」

博記 「オマエはその二時間でその真理恵ってコの何が分かった?何敵意むき出しにしてんだよ?バカじゃねーのか?その真理恵ってコは、その二時間、ギターを楽しんでたんじゃないのか?それに比べてオマエはどうだ?二時間中ずっと相手に敵意をぶつけて。失礼だとは想わないのか?」

健治 「しかし…。」

博記 「音楽は楽しむもんだって言ってなかったか?高校ん時に。人と比べるもんじゃない。オマエはオマエの音を、俺は俺の音を出していけばいい。」

健治 「…。」

博記 「ガッカリだな。そんなオマエとじゃハンバーガーがマズくなる。俺は帰るぞ。」(出て行く)

健治 「どうしろっつーんだよ…。」


そしてヒロキはチャリをこぎながら下宿へと戻っていた。

そしてチャリを止め、空を見上げる。


博記 「福岡って…星が少ないんだな…。」


そしてまた下宿へと向かってこぎだす。


その夜は博記は何故かベースの練習をする気になれないで居た。

博記も健治も福岡に出てきて少し戸惑っているのだろう。

そして健治と再会した謎の女、真理恵。

果たして新生KENDYSを結成する事は出来るのだろうか…。

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