02 夜の街
第4話
いつ。どんなところでも。眠ることができた。訓練して、そうなったわけではない。武器の扱いや人の機微を見抜く目は、生まれつきのもの。
だから。この仕事にも。今の自分の立ち位置にも。特に不満や微妙な気持ちはなかった。
ただ、索漠としている。心が、乾くと表現すればいいんだろうか。何もなく、ただ、風が通りすぎるように。無色。
夜の街。ひとりで歩く。街行く人の表情は穏やかで。ネオンに照らされて、優しい街並み。この街を守るために。自分の仕事がある。ただ、街を守る。それだけの、人生。
それ以外には、何もない。
煙草を付けようとして。ライターを落としたことに気付いた。どこに落としただろうか。
「夢の中かな」
呟いて。ひとりで、少しだけ、
自分の見る夢は。夢ではなかった。そこには別の世界があって。誰かがいる。話をして。安心して。何かに触れて。そして、起きる。夢の中に置き忘れてきたのなら。それはそれでいい。
どこかで、ライターを買おうか。
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