02

 そして今日も。


 目覚める。


「ばかだな、わたし」


 ひとりごとだけが。ひとりの部屋に消えていく。


 目覚めたからといって。誰もいないのに。


 自分の腕で。自分を抱きしめる。


 忘れてしまいそうな。こわれてしまいそうな夢を。こぼれ落とさないように。ぎゅっと、力を込めて。わたしを抱きしめる。わたし。


 夢のなかで。


 誰に会ったのだろう。


 何を話したのだろう。


 好きだったのだろうか。


 すべては。消えていく。わずかな、幻想的な気分だけを残して。

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