大老師の大予言
ある日、大老師はある予言をした。
「円盤が到来し、巨大な球体が押しつぶし、大洪水が起こり、人類狂乱す」
「ろ、老師様……? それは本当ですか!?」
「しらん、なんか見えたから答えたまでじゃ」
今年で齢87になる大老師は、未来を見通す力を持っており、彼が予言した数カ月後に歴史的な出来事が起こるのである。
これまでに大規模テロ、総理大臣暗殺、巨大災害などが起こることを予言し全て的中させていた。それゆえ、大惨事を未然に防ぐために彼の予言は唯一の希望で、世界中が大老師を注目し、従者たちはいついかなるときでも耳を側立てて、大老師の寝言さえも聞き損なわないように注意を払う。
そして、たった今、大老師が不吉なことを呟き、従者たちの緊張は高まる。これは恐らく、人類滅亡の危機を予言しているのかもしれないと彼らは思い、すぐさま政府にこのことを伝えた。
日本政府は全世界と協力し、到来すると思われる超巨大宇宙戦艦と対峙するため大規模防衛対策が講じられ、誰もが固唾を飲んでその時を待つ。だが、一向に宇宙人たちがやってくることはなく、3ヶ月が経ってしまった。
「老師様、本当に予言のようなことは起きるのでしょうか……」
従者の一人が心配して尋ねると、インターホンを音が流れてきて、他の従者がそれを持ってきた。
「老師様宛てのお荷物が届きました!」
「おおーっ!きたきた……」
大老師はダンボールを開けて、中にあるDVDを取り出した。その途端、従者たちは唖然した表情になり、何も言えなくなる。
なぜなら、それは大老師が好きな、AV女優の新作だったからである。
「ろ、老師様は……それは」
「ん?おまえたちも見るかー?」
「い、いえ……遠慮しておきます……」
「そっか、じゃあワシだけで鑑賞するかのぅ……うっひっひ」
大老師は恵比寿様のように微笑んで、自室に駆けていった。
従者たちはこんな非常事態になんてお気楽な方だと呆れるが、毎度ながらどんな大予言をした後もあんな感じなので今さらである。
大老師がいる部屋から彼のエクスタシーな声が大きく響き、従者たちもだんだん苛立っていくが、そのとき大老師はとんでもないことを喚いた。
「ほおおおぉぉ――――! 予言とはこのことじゃったか!?」
「予言」というワードに反応して、従者たちはすぐさま大老師の部屋に走っていき、画面に映っていたものに無意識に釘付けになり赤面する。
多くの裸なった男たちが囲う中、豊満な胸を持った女性が、噴水のように見事な潮吹きをしていた。
そして大老師は推理探偵のごとく、謎の真相が分かったぞと決め顔をしてクールに呟いてから、画面に指差し声を大にして叫ぶ。
「円盤が到来し、巨大な球体が押しつぶし、大洪水が起こり、人類狂乱す……
円盤は、DVD!
巨大な球体とは、おっぱいのこと!
大洪水は、潮吹き!
人類狂乱とは、ここにいる裸の男たちのことじゃあああああああああああ!!!!」
従者たちは、その場で壮大にすっ転んだ。
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