第19話 ライヴ前日の部室

三月六日。ライヴを翌日に控え、俺とケンジは部室に居た。


ケンジ 「遂に明日だな。」

ヒロキ 「毎日言ってるよな。あと何日だなって。」

ケンジ 「まぁな。明日でココともお別れだな。」

ヒロキ 「最初ココを見た時はどうなる事かと想ったが。」

ケンジ 「なかなかイイ場所だろ。」

ヒロキ 「あぁ。今となっては最高の場所だな。音は漏れまくりだが。」

ケンジ 「トナリの人も、やっと肩の荷が降りるって想ってるよな。」

ヒロキ 「そうだな。ちゃんとお礼をしなきゃな。」

ケンジ 「当然。(ここでケンジの携帯が鳴る)もしもし…」

ヒロキ 「俺も携帯欲しいなぁ…。」

ケンジ 「うそっ!!?マジで…?……………あぁ。分かった。何とかする。」(切る)

ヒロキ 「誰からだ?」

ケンジ 「クミコさん。」

ヒロキ 「なんて?」

ケンジ 「ヤスが明日来れなくなった…。」

ヒロキ 「まぁ…予想はしてたが…。どうすんだ?」

ケンジ 「そうだなぁ…。」

ヒロキ 「まぁ前日に分かっただけ良かったじゃん。」

ケンジ 「だな。どうすっか…。」

ヒロキ 「ん~…。」

ケンジ 「最悪の場合、俺が歌うしかないな。」

ヒロキ 「でもギターはどうすんだよ?」

ケンジ 「それはタクヤに任せるしかない。」

ヒロキ 「あ!アイツは?一回一緒にカラオケ行った事あんじゃん。その時に結構歌はウマイって想ったんだ。名前なんだっけ…。」

ケンジ 「ナルイシか?」

ヒロキ 「そうそう。一応バンドやってるっては教えたじゃん?その時結構興味ありそうな顔してたじゃん。」

ケンジ 「電話してみる。」(電話をかける)

ヒロキ 「つぅか…ホントに明日なんだよな…。」(誰に言うでもなく)


そしてケンジは電話を終えた。


ヒロキ 「どうだって?」

ケンジ 「ソッコーOKしてくれた。ノリノリだったぜ。」

ヒロキ 「でも、ナルイシは全部曲を知ってるのかな?」

ケンジ 「明日ライヴ前に一通り通すから何とかなるんじゃないか。最悪の場合、ヤスのタメに作っておいた歌詞もあるし。」

ヒロキ 「そうだな。良かったよ。」


この時点で、ケンジはギター&一曲ヴォーカルで参加。

ナオコはキーボード。

クミコさんは一曲ドラムで参加。

タクヤはギターで参加。

サトムラはエレアコで一曲参加。

ユカは待機(?)。

ナルイシが急遽ヴォーカルで参加。

俺はベース&一曲弾きながらヴォーカルで参加。

となった。


ヒロキ 「この半年が無かったら、俺は今何をしてんかな。」

ケンジ 「何だよイキナリ。」

ヒロキ 「多分つまんねー事してると想う。」

ケンジ 「つぅかオマエがベースに触れて半年ぐらいなんだよな。」

ヒロキ 「まぁ練習はあまりしなかったが。」

ケンジ 「自分で言うな。」

ヒロキ 「にしても、ナオコもよく頑張ってくれたよな。」

ケンジ 「まだ過去形にするには早い。確かに、難しいと言いながら、よく頑張ってくれてるよ。」

ヒロキ 「メンバーが八人も居るんだしな。」

ケンジ 「そんなに居るっけか?」

ヒロキ 「オマエ、ナオコ、クミコさん、ユカ、ヤス、サトムラ、タクヤ、俺。後ナルイシも入れるなら九人だ。」

ケンジ 「誰かさんが仲良し皆でやりたいでちゅ。とか言うからな。」

ヒロキ 「オイ…。」

ケンジ 「まぁそれがイイ結果を生んだってトコか。」

ヒロキ 「最初は『甘い』とか言ってたクセによ。」

ケンジ 「あ~忘れた。」

ヒロキ 「よく言うぜ。」

ケンジ 「さて、明日のタメに、一回通してやるか。」

ヒロキ 「そうだな。何もしないよりはマシだ。」


まだ実感は無かった。

明日がライヴだという実感、そして、それでKENDYSは解散という実感。

そして、ライヴ当日がやってきた。

この物語もそろそろ結末を迎える…。

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