第11話 無謀(?)な挑戦

十月も半ばに入った。

俺達はイツモの如く部室に居た。


クミコ 「(ドラムのとこに座って遊んでる)あ~あ…私も何か楽器出来ればなぁ…。」

ヒロキ 「俺さ、あれからhideの曲を聞いたんだよ。」

ケンジ 「へぇ~。(ギターソロ練習中)」

ヒロキ 「すっげぇイイよな。ハマッたよ。」

ケンジ 「意外なトコでハマッたな。」

ヒロキ 「hideも一曲やろうぜ。」

ケンジ 「別にイイが、何をやる?」

ヒロキ 「Rocket Diveがやりたいな。」

ケンジ 「定番っちゃ定番だな。」

ヒロキ 「ギターやってみようかな。」

ケンジ 「オマエが?」

ヒロキ 「悪いかよ。」

ケンジ 「いや…意外だったもんで。」

ナオコ 「(キーボード練習しつつ)頑張ってくださいね♪」


こうして俺は一曲ギターで参加という無謀(?)な決心をした。

自分としてはナカナカ弾けてるじゃん?とか想ったりもしたが、あくまで自己満足だった。

たぶん、ギリギリで曲として成り立っているレベルだったと想う。

練習開始して間もなく、更に無謀な事になっていくのだった…。


少し時は流れた…。11月になった。


ヒロキ 「うん。ナカナカ弾けるようになったな。」

ケンジ 「…。」

ヒロキ 「後はギターソロだな。」

ケンジ 「なぁ…。」

ヒロキ 「ん?」

ケンジ 「オマエがギターすんのはイイんだが…他のパートは誰がやるんだ?」

ヒロキ 「…。」

ケンジ 「ギターも一本だけってのは寂しいし、ベースはどうすんだよ?」

ヒロキ 「…。」

ナオコ 「ユカとかクミコさんとかにやって貰ったらいいじゃないですか。」

ヒロキ 「お♪そっかぁ。」

ユカ 「別に構いませんけど?」

クミコ 「何すればいいの?」

ヒロキ 「ん~…ユカにはギターを。クミコさんにはベースでどう?」

クミコ 「出来るかわかんないけど、やってみようかな。」

ユカ 「教えてくださいね♪」


分かっているとは想うが、ユカもクミコさんも全くの素人だったワケで。

その点では俺も大して変わらなかったのだが…。


ヒロキ 「まだ時間もあるし、何とかなるだろ。」

ケンジ 「羨ましい性格してるよな。」


それから二人はソレゾレの楽器の練習を始めた。


ケンジ 「しっかし…。タクヤ達はちゃんと練習してんのかねぇ…。」

ヒロキ 「商高だしなぁ…。ちょくちょく来て練習してるワケにもいかないだろうしな。」

ナオコ 「タクヤ『達』?サトムラ君も何かやるんですか?」

ケンジ 「しょうがないから一曲だけアコギで参加させる事にしたよ。コードも三つくらいしかない簡単な曲をな。」

クミコ 「あこぎ?」

ケンジ 「アコースティックギターさ。勿論エレアコになるけどな。」

ヒロキ 「えれあこ?」

ケンジ 「もう説明はしねーぞ。」

ヒロキ 「そんなぁ~。」

ケンジ 「…にしてもヤスは来ないな…。」

クミコ 「たま~に来ても歌わないで、何か携帯いじって帰るぐらいだしね。同じクラスだから来るように言ってはいるんだけどね。」

ヒロキ 「携帯持ってんだから電話すりゃイイじゃん。」

ケンジ 「止められてんだよ。」

ヒロキ 「あ…そう…。」

ナオコ 「前途多難ですね。」

クミコ 「ドラムも未だに居ないしね。」

ケンジ 「前途洋々よりはイイじゃん?なんか楽しいしさ。」

ヒロキ 「オマエがそんな事言うなんて、それこそ意外だな。」

ケンジ 「うるせー。練習しろ。」

ヒロキ 「カンケーないし。」

ナオコ 「………………………あります…。」

ヒロキ 「…。」


大体、この部室に居るのは、俺、ケンジ、ナオコ、クミコさん、ユカぐらいだった。

ヤスは、たまに来るのだが、練習もしないで、帰って行く…何しに来てるのか分からない有り様だった。

タクヤとサトムラに至っては、殆ど音あわせする事も出来なかった。

そして、バンドには重要なドラムも…全く見当がついていなかった。

そして俺、ユカ、クミコさんで動き出したバンド(?)も前途多難で…。

この三人バンドには少し問題も起こるのだが…。

まだ先のハナシではあった。

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