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僕は霊の彼女に恋をしている。
死んでいる彼女に恋い焦がれている。
僕は生きていて、彼女は死んでいる。
僕はこれまであり得ないと思っていた幽霊の存在を認めて、幽霊である彼女に恋をしている。
つまり僕が彼女の存在を認めない限り、僕は彼女に恋をできない。
ただ彼女はこのとおり幽霊としてこの世に存在して、僕は彼女に恋をしている。
──そして、疑問を抱いた。
霊としてこの世に存在し続ける事ができるなら、僕ら生者が生きている意味ってあるのだろうか? 死んでもまたこの世に存在できるなら、僕には生きることが無意味に思えてならない。
それならいっそのこと死んでしまったほうが、僕は彼女に近づける。
彼女とお話しできるし、その身体にだって触れられるはずだ。
だから僕は死ぬ必要があると結論付けた。
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