第59話暗殺者②
「やはり見知らぬ女性にご主人様のお世話を任せるべきではありませんでした!」
怒り心頭に発したメルロスをなんとか宥めていた。
ハメールは平身低頭するばかりである。
「その女は依頼主に利用されていただけよ。
私の事も暗殺依頼も知らないわ」
裸のまま縄に縛られた
「この!」
メルロスの怒りに同調する様に、頭の上に浮かぶ
丸くてクリクリのキュートなお目々が、何処から出たのかティアドロップ型のサングラスで隠れてしまっているではないか!
これは非常にまずい。
この歪んだ気が放出されると城が壊れてしまう。
精霊使いは常に冷静でなくてはいけない。
「メリー落ち着け!
依頼主を言えば助ける約束だ」
襲い掛かろうとするメルロスの前に止めようとして飛び出すと、勢い余って制服のシャツを捲ってしまい両手でその巨◯を鷲掴みにしてしまった。
「メリー、こ、これは事故だ」
「もう、ご主人様ったら」
シャツのボタンが取れてしまい谷間が丸出しだ。
このラッキースケベのお陰か、メルロスは少し冷静になってくれた。
「さぁて、色々話してもらおうか……」
——————
27というコードネームで呼ばれていたようだ。
それ、ただの数字じゃないか。
依頼主の正体はディビット卿。
昔、ジョンテ領に住む
ジョンテ領を良くする為に、正義の為に、他の廃貴族の支援により立ち上がったという。
正義ねぇ……
俺を眠らせる為の酒を飲ませた者。
城の窓の鍵を開けた者。
俺が眠る部屋の明かりを点けた者。
今回、贈呈された女性一人一人に何かしらの指令があったらしい。
女性を連れてきたお偉方の殆どは、ディビット卿には逆らえないという。
賄賂を受け取ろうが、受け取らまいが、結局の所、女性は城に送り込むつもりだったようだ。
「そのディビット卿とやらはいずれ排除する必要があるな。
それで、其奴らはどこに潜んでいるんだ?」
コード27に訊く。
奴らの本拠地は南の森の中にある洞窟。
この街と森の間にある廃墟村が主な取引先だと言う。
堂々とこの街に住む廃貴族もいるようだ。
ふむ。
まぁ、今夜はこんなところか。
「27のままだと呼びにくいから、これからお前の事はそうだな……ニーナと呼ぶ事にしよう」
2と7でニーナ。
中々のネーミングセンスじゃなかろうか。
「え?」
メルロスとコード27が揃って疑問の声を上げた。
「この人間はご主人様の命を狙ったのですよ?
名前を与えるなど……
まさか、側に置くつもりなのですか?」
一旦冷静になったメルロスからまた怒気が溢れ出した。
なんとか言い包めなければ!
「俺は死なないから大丈夫だ(死ぬけど)。
でも、こいつは任務を失敗したから、このまま帰したら殺されるかもしれない」
27の顔が青ざめたのを俺は見逃していない。
「そんなの!
この人間の自業自得です!
ご主人様には何ら関係ございません!」
こんなに怒ってるメルロスは初めてだ。
それだけ心配してくれているのかもしれない。
「分かった、メリー。
じゃあ、この件が片付く迄ニーナをうちで匿うという事でどうだ?」
メルロスが黙ってしまった。
困らせてしまい申し訳無く思う。
「ニーナはどうしたい?
逃げたいのなら逃げてもいい。
あくまで俺の勝手な想像だ」
「ニーナ………ニーナ……
ニーナ」
27が自分に付けられた名前を何度も呼ぶ。
深い闇に落ちた目に僅かな光が差し込んだ。
そんな気がした。
「私は既に捕虜の身だ。
好きにすれば良い。
私に名前を与えるなど如何にも道楽貴族の考えそうな事だ」
強がりだ。
声が僅かに震えている。
縄を解き、裸のニーナにベッドのシーツを被せる。
「俺の好きにしていいのなら、
ニーナとして新しい人生を掴め」
ニーナはシーツを頭から被り丸まる。
身体の震えが止まらないのを隠したいのだろうか。
「私は!
私の手は既に血で染まっている!
殺ししか知らない!
新しい人生など……簡単に言うな!」
シーツの上からニーナを強く抱きしめた。
「それでも生きろ!」
シーツから半分出した顔はか弱い少女のそれだった。
目が微かに潤んでいる。
感情の全てを無くした訳では決して無い。
ニーナの両肩に手を置く。
これは俺が敬愛する団長の真似だ。
「俺がずっと守ってやる!」
ニーナの目から涙が一粒溢れた。
あ、しおらしい。
よく見ると結構可愛いじゃねぇか。
リハビリ次第じゃいい玩具に、いや、いい女になりそうだ。
後ろでメルロスが涙を流している。
あのハイエルフが涙を?
信じられない。
「ああ、やはりご主人様は全てを救ってしまうのですね。
差し出がましい口出しをお許しください」
指でメルロスの涙を拭ってやる。
「ハイエルフでも涙を流すんだな」
「私も驚いております。
ご主人様に出会ってから私の中で様々な感情が芽生えてきているようです。
失礼があればどうかまたお仕置きして下さいませ」
お仕置き、とな。
いつぞやの朝、森にて縄縛りで拘束してからメルロスの新しい扉を開いてしまったやも知れん。
実はずっと引っかかっていたのだ。
今度、試してみてもいいかもしれないな。
突然、一部始終を見ていたハメールが拍手をしだした。
「ブラボー!
ブラボーでした!
素晴らしいご主人様ですー」
メルロスの冷やかな目がハメールに向いたが、本人は意に返す様子が無い。
南国のノリなのか?これは。
「ハメール巻き込んで済まなかったな。
戻って休んでいいぞ」
「あれ?私を抱かないですか?
夜の使命受けてきてるです」
「いや、その使命は気にしなくていい」
性に対してオープン過ぎるのも、なんか抵抗を感じてしまう。
話し方もそそらない。
難しいな。
「とりあえず、ニーナはデカスに連れて行く。
メリー」
メルロスは慣れた様に俺に寄り添う。
【転移】するのが分かっているからだ。
裸のニーナを片手でひょいと持ち上げ【転移】する。
デカスのテツオホームに着くと、案の定ニーナは連続で驚き続けた。
一瞬でデカス山脈に移動し、しかも巨大な建造物がある事実に驚かない奴はこの世界にはいないだろう。
メルロスは後で楽しむ為に部屋に残してくる。
「ここは俺の家だ。
ゆっくり寛いでくれ。
とりあえず親睦を深める為に風呂に入るか」
ニーナを連れて四階・大浴場に行く。
「さぁ、お前が流させた血をお前が洗うんだ」
ニーナの前に仁王立ちになると、石鹸を泡立てて俺の身体を洗い始めた。
「あんなに深く抉ったのに完全に塞がってるなんてどういう事なの?」
ニーナが俺の背中の傷跡を見て驚いた。
「お前の攻撃なんかじゃ俺は死なないよ。
俺は無敵なんだ。
さぁ、丁寧に洗ってくれ」
ニーナは慣れない手付きで背中を洗う。
たどたどしくて焦れったい。
だが、素人っぽい不規則な動きも別の気持ち良さがある。
実は先程の戦闘中貫いた時、こいつはまだマッサージ未経験者だった。
「こういった裏の仕事をしてきたのに、女の技は鍛えてなかったんだな」
身体を引き寄せて身体を密着させヌルヌルとマッサージ用石鹸を泡立てる。
「私は暗殺術のエキスパートだ。
そんなもの必要……ない」
肌が擦れる度どうやら感じているようだ。
慣れない刺激に戸惑ってやがる。
「気持ちいいか?」
「くっ……全然!」
強がり言いやがって。
少し抵抗がある様だが、俺の命令には逆らえない。
患部に指を添え、指先から微弱な【衝撃魔法】を定期的に放つ。
この刺激には流石のニーナも身体を仰け反らせ、ふるふると震わせている。
いわゆる振動マッサージだ。
「どうだ?
欲しくなってきたか?」
「……いら……ない」
快感で返事が遅くなってきているじゃない。
ふふ、陥落寸前。
もうひと押しだな。
【
闇魔法で手足を拘束し、強弱の刺激をコントロールしながら与え続け、限界を達しないように焦らしに焦らす。
「あぁ……もぅ……」
来た。
「もう、なんだ?お前はもう俺の奴隷だ。
ご主人様、私にご褒美を下さい、と言え」
ニーナは目もあそこもトロトロになっている。
「ご主人様ぁ、私にご褒美を下さいぃ」
はい、完堕ち。
「いやらしい女め。
いいだろう」
「あぁっ!」
ニーナはマッサージしただけで限界に達してしまった。
寝室に場所を移し、朝まで一度も休まずにマッサージし続ける。
その間、ニーナが何度気絶しようがすぐに【覚醒】させ施術しまくる。
いつしかニーナの中で何かが弾け、とうとう自ら俺のマッサージを求める様になっていた。
これは彼女が
「どうだ?」
「はぁ、はぁ、私はもうご主人しゃまの事しか考えられましぇん……
ずっと可愛がってくだしゃい……」
「よしよし、よく出来た」
「ぁは」
マッサージ用ミルクまみれの女は満足そうに眠りに落ちていった。
【
ニーナを完堕ち状態で【
——メルロス・個室
メルロスが【
両手、両脚を蛙の様に全開にして縛り上げられ、ヒクヒクと小刻みに震えている。
「待たせたな」
「あぁ、ご主人様。
私、いい子で待ってました」
身動きの取れないメルロスが身体をくねらせて喜ぶ。
「やはりお前は縛られるのが好きだったんだな」
「ご主人様が私をこんな身体にしたのですよ」
「ド変態エルフめっ!」
三大巨◯の一人、淫◯のメルロス。
あぁ、いい匂いだ。
「頑張ったお前にご褒美をやらなきゃな」
ズン!
メルロスもニーナと同じ様に朝までマッサージし続けた。
更に【
命を狙われたせいなのか、俺に惚れてる女達を無性に抱きしめたくなった。
抱きしめると安心する。癒される。
正直、毎日毎日マッサージするのもどうかと思うので、数日施術せずに焦らすのもまたいい手かもしれんな。
団長ソニアはチャンスがあったらまたマッサージしたい。
魔女エリンはまだまだ大丈夫だろ。
エリンに会いに行ったらもれなくベルがいるんだよなぁ。
ベルは凄すぎるからお相手するなら一ヶ月に一回くらいがいい。
まぁ、マッサージしなきゃいいだけなんだが。
エナにも数日会ってないが、どんな状況だろうか?
そろそろ俺に会いたくなってきてるんじゃないのか?
そろそろ、エナをおウチにお迎えしたい。
あー、ほんと領主の仕事って面倒臭いな。
さっさと軌道に乗せて全てをラウールに任せてしまいたい。
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